2020.10.29 - TV Program
美しきチャレンジャー 美しきチャレンジャー
筒美京平

(1971)

2020年10月7日に亡くなった、筒美京平さんのことを書いておきたいと思います。

多くのシンガーやアイドルに数多くの楽曲を送り出した筒美京平さん。弘田三枝子さん訃報の時に、"渚のうわさ" を聴いたばかりだったんですが....。

今回はちょっと目先を変えて、筒美京平さんが作ったテレビの主題歌、挿入歌などを聴いていきたいと思います。

僕は積極的にアイドル番組、歌謡曲ヒットパレードを観たり、聴いてこなかったのですが、筒美京平さんが作ったメロディはこれまで観てきたテレビの懐かしい記憶と共に心の中で鳴っていたんだと痛感。今回、いろいろ思い出して聴いてみました。なので音楽の話、殆どなしです(笑顔)


おれは怪物くんだ(詞:藤子不二雄、作曲・編曲:筒美京平) / 白石冬美、今西正男、大竹宏、兼本新吾(1968)

まずは『怪物くん』主題歌。グループサウンズ・スタイルの楽曲です。怪物くんの声をアテたチャコこと白石冬美さんが歌いました。当時のエレキブームを反映した主題歌でした。

僕はこの『怪物くん』で、映画評論家の淀川長治さんのことを知ったんですよね。途中、アニメが突然停止して淀川さんがこんな感じで喋ります。「フィルムストップ!オオカミ男は満月を見て、狼に変身するんですね〜。ここでは月見うどんの"月"を見て狼に変身しちゃったんですね〜。はい、続きをご覧ください。」といった感じ(笑顔)。

『怪物くん』は一連の藤子不二雄原作シリーズで、不二家一社提供の『不二家の時間』枠で放送、日曜夜7時半からの放送だったんですが、その放送終了2時間後の『日曜洋画劇場』でも淀川長治さんが解説していることを知ったんです。その夏、『日曜洋画劇場』で本場の海外映画『吸血狼男』(1961年)を放送することを新聞のテレビ欄で知り、僕はどうしてもこの映画が観たくて、親に頼み込んで、夜遅くまで起きて見せてもらったんです。ここでも淀川さん、「サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ〜」って言っていることを知りました(笑顔)。これが僕の初の『日曜洋画劇場』体験です。


美しきチャレンジャー(作詞:岩谷時子、作曲・編曲:筒美京平) / 新藤恵美(1971)

美しきチャレンジャー(作詞:岩谷時子、作曲:筒美京平) / 堀江美都子(1971)

1970年代に入るとこの『不二家の時間』枠は、藤子不二雄原作シリーズからスポ根ドラマなどになりました。この枠で『サインはV』なども放送していましたね。この『美しきチャレンジャー』は当時大ブームとなったボウリングを取り上げていました。主人公の新藤恵美さんのまっすぐな黒髪とキリっとした瞳が良かったです。歌唱もクールでいい感じ。ベース(寺川正興さんらしいです)もメチャカッコいいです!
当時、他の人も歌ったようで、今回は堀江美都子さんのバージョンも合わせて。


サザエさん(作詞:林春生、作曲、編曲:筒美京平) / 宇野ゆう子(1969)

1969年から放送が始まったテレビアニメ『サザエさん』。現在の主題歌は短いバージョンですが、今回は放送1回目からフルサイズのバージョンを。編曲も筒美京平さんですが、このフルサイズ、イントロ部分が心地よく、シャレているんですよね。歌っている宇野ゆう子さんはシャンソン・シンガーだそうです。


ママはライバル(作詞:橋本淳、作曲・編曲:筒美京平) / 岡崎友紀(1972)

『おくさまは18歳』から始まった一連の岡崎友紀さん主演の30分コメディドラマ。『ママはライバル』は転校してきた同級生の女の子は、実はお父さんの再婚相手だった!ってヤツです。なんといっても最高なのは脇役の富士真奈美さん。富士真奈美さんの役どころはだいたい、主人公の家の隣に住んでいる有閑オバ様役。メガネ上下しながら、「ナヌ?、ナヌナヌ?、隣の家は何するものぞ〜、怪しいぞ〜、怪しいぞ〜。」って隣をいつも覗ってるんですよね(笑顔)。


時代遅れの恋人たち(作詞:山川啓介、作曲:筒美京平) / 中村雅俊(1978)

海を抱きしめて(作詞:山川啓介、作曲:筒美京平) / 中村雅俊(1978)

一連の中村雅俊主演の青春学園モノから。『ゆうひが丘の総理大臣』の主題歌とエンディング曲です。今回のマドンナ先生、由美かおるさんっていうのが良かったですね(笑顔)。女生徒たちも明るくて、可愛かったです。特に優等生役の斎藤とも子さんが好きでした〜。(藤谷美和子さんも復帰してほしいです。)


しあわせの一番星(作詞:安井かずみ、作曲・編曲:筒美京平) / 浅田美代子(1974)

人気のあった水曜ドラマ枠の『寺内貫太郎一家』から。浅田美代子さんのデビューとなった『赤い風船』に続く劇中挿入歌の第2弾でした。物語の終盤、いつも瓦屋根や洗濯干場で歌われ、どこか幸せな気分になれましたね。


リンゴの森の子猫たち(作詞:松本隆、作曲:筒美京平) / 飯島真理(1983)

1983年にNHKで放送されたアニメ『スプーンおばさん』のエンディング・テーマ。僕はこのアニメを観ていなかったのですが、NHK『みんなのうた』で初めて聴きました。とっても気持ちいいリズムにとっても可愛いメロディ!好きになって何度も聴いていました。当時、歌謡曲然とした曲が多い筒美京平さんの懐深さを感じました。同世代で今でもこの曲を好きな人が多いようです。


野性の風(作詞:川村真澄、作曲:筒美京平) / 今井美樹(1987)

ラストの曲はテレビではなく映画から。1987年の映画『漂流教室』の主題歌になった曲。アレンジは久石譲さんが担当しています。なのでちょっと『天空の城ラピュタ』の感じが入っています(笑顔)。この曲も筒美京平さんの奥深さを感じるバラード曲です。

映画の方は監督の大林宣彦さんの演出が楳図かずおさんの世界観と合わずイマイチ。でも『避暑地の出来事』(A Summer Place、1959)などに出演したトロイ・ドナヒュー(Troy Donahue)、そして東宝映画『ゴジラ』(1954)の監督、本多猪四郎監督も出演しているので、もう一度観てみたい映画。でも現在(2020年)、未だDVD化されていません。


(富田英伸)

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