2020.08.14 - Cinema Music Composers
A Summer Place A Summer Place
Max Steiner

(1959)

Cinema Music Composers シリーズ
夏真っ盛り。今回は趣向を変えて Max Steiner が書いた "A Summer Place" を様々な角度から聴き比べてみたいと思います。「映画音楽の父」と言われた偉大な映画作曲家、Max Steiner についてはまた別の機会に取り上げます。

"A Summer Place"、邦題 "夏の日の恋"。夏になると思い出すメロディ。これまで多くの人に愛されてきました。1959年の映画『避暑地の出来事』(A SUMMER PLACE)のために、Max Steiner が作った楽曲です。

映画『避暑地の出来事』は親世代の過去の甘い思い出、子世代のひと夏の恋愛、それぞれの想いが交錯するバカンス映画。当時のティーンアイドル、サンドラ・ディー(Sandra Dee)とトロイ・ドナヒュー(Troy Donahue)が出演しています。この時代の青春映画は今、殆ど観ることができなくなってしまいましたが、最近までテレビで頻繁にオンエアしていました。監督したのは『邂逅(めぐりあい)』(LOVE AFFAIR、1939)で脚本をミルドレッド・クラム(Mildred Cram)と担当したデルマー・デイヴィス(Delmer Daves)です。

多くの人に親しまれているこのメロディですが、映画『避暑地の出来事』の本来のテーマ楽曲ではなく、サンドラ・ディーとトロイ・ドナヒューが出演するシーンで流れます。海は大しけで大荒れ。それなのに2人はヨットで航海、高潮でヨットは遭難しまいます。そして2人は...、。

サウンドトラックではこのメロディにはサンドラ・ディーとトロイ・ドナヒューの役名がついた "Molly and Johnny Theme" というタイトルが付いています。サウンドトラックから、映画『避暑地の出来事』のメインテーマ、それに続く、"Molly and Johnny Theme" を聴いてみましょう。

"A SUMMER PLACE" Soundtrack / Max Steiner(1959)


Columbia Records は映画『避暑地の出来事』の中で流れた "Molly and Johnny Theme" に目を付け、同年、1959年9月に Percy Faith の楽団が録音、12月にリリース。翌年、1960年2月には Billboard Hot 100 の1位を6週間続け、真冬の大ヒットとなります。曲名は "Theme from A Summer Place" と付けられました。サウンドトラックを聴いての通り、映画のテーマ曲ではないのですが。

Theme From A Summer Place(Max Steiner) / Percy Faith and His Orchestra(1959)


Percy Faith の楽団のバージョンのヒットを受けて、イギリスの Columbia Records は、Cliff Richard、The Shadows、Helen Shapiro などのプロデューサーで知られる Norrie Paramor の楽団が録音、1960年にリリースされます。Patricia Clarke というソプラノ歌手をフィーチャーしています。このバージョンはUK charts で36位を付けます。

Theme From A Summer Place(Max Steiner) / Norrie Paramor and His Orchestra(1960)


1960年、アメリカ本国ではその夏に大ヒットを狙うべく、次々とこの曲を様々なミュージシャンが録音します。同じくインストバージョンでは、Billy Vaughn 楽団、Mantovani 楽団、The Big Sound Of Don Ralke、Les Baxter 等々。

同年、Dot Records がボーカルバージョンをリリースします。詩を書いたのは、Mack Discant という人。歌ったのは The Fontane Sisters。Perry Como のバックでも歌っていた姉妹達です。このバージョンがお手本となって、The Chordettes も1962年に歌っています。また日本国内でも Fontane Sisters のバージョンをお手本に女性コーラスグループのスリー・グレイセスが1960年にシングル・リリースしています。同時期、ペギー葉山もシングル・リリースしているようです。

Theme From A Summer Place(Max Steiner-Mack Discant) / Fontane Sisters(1960)

夏の日の恋 / スリー・グレイセス(1960)


1962年、映画『避暑地の出来事』の制作元ワーナーブラザーズ社と関係が深い、Warner Bros. Records から Joanie Sommers が シングル、"Johnny Get Angry" のB面に収録します。オーケストレーションは Stan Applebaum が担当。このバージョンはとても気に入っています。

1965年には ‎Capitol Records ‎からボーカルグループ、The Lettermen がシングルリリース。Billboard Hot 100 の16位をつけます。男声ファルセットで歌う感じが心地いいです。

Theme From A Summer Place(Max Steiner-Mack Discant) / Joanie Sommers(1962)

Theme From A Summer Place(Max Steiner-Mack Discant) / The Lettermen(1965)


ここからはちょっと変わり種のバージョンを。
Max Steiner のサウンドトラックを聴いていただいたように、主旋律はギターで奏でられています。それを踏襲したギターインストを。1964年にリリースされた "Twangy" こと Duane Eddy が録音しています。プロデュースには Al Schmitt が就き、いいギター音を奏でています。

1965年、Julie London の Liberty Rocords からリリースしたアルバム『Our Fair Lady』から。映画音楽に題材を求めたアルバムで、Snuff Garrett のプロデュースです。ジャズ調に仕上げてあります。妖艶で夏の夜の雰囲気。

1966年の Hugo Montenegro がリリースしたアルバム『Cha Chas For Dancing』から。Cha Cha のダンスに合わせたラテン調のアレンジです。

Theme From A Summer Place(Max Steiner) / Duane Eddy(1964)

Theme From A Summer Place(Max Steiner-Mack Discant) / Julie London(1965)

Theme From A Summer Place(Max Steiner) / Hugo Montenegro(1966)


本命の Percy Faith の楽団のその後を。
Percy Faith は1969年に再度、この曲をリアレンジして録音しています。その時は、女性コーラスをフィーチャーしたものになりました。Jack Gold がプロデュース。とってもいいコーラスボーカル、演奏者のクレジットの記名がなくて残念。

1975年にディスコ時代を反映して、ダンサブルなアレンジでシングルリリース。日本国内でも "夏の日の恋'76" のタイトルで大ヒット。(クレジット掲載なく未確認ですが)ドラムスは Earl Palmer !?びっくりです!

Theme From A Summer Place(Chorus Ver.)(Max Steiner-Mack Discant) / Percy Faith (1969)

Summer Place '76(Max Steiner) / Percy Faith(1975)

(富田英伸)

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