2020.08.05 - Magic Voice
渚のうわさ 渚のうわさ
弘田三枝子

(1967)


(2020年8月2日SSB、弘田三枝子さん訃報で、"悲しきハート" がかかったので)

Magic Voicesシリーズ
2020年7月21日に亡くなった、弘田三枝子さんのことを書いておきたいと思います。

1960年代から1970年代にかけてラジオ、お茶の間のブラウン管テレビからは弘田三枝子さんのパンチある声がずっと聴こえていたと思います。個人的に思いが強いのはNHK「みんなのうた」で弘田三枝子さんが歌っていた "ドロップスの歌"。これが大好きだったんですよね。

"ポロン ポロン"のところはちょっと悲しい気持ちになるんだけど、"それが世界中に 散らばって〜"のところは、弘田三枝子さんのはち切れんばかりの明るい声で、胸のところが温かくなって幸せな気持ちになったんですね。"ドロップスの歌"、弘田三枝子さんの声でもう一度聴いてみたいです!。


真っ赤な涙が ポロン ポロン
黄色い涙が ポロン ポロン
それが世界中に 散らばって
今では ドロップス

"ドロップスの歌"
まど・みちお作詞/大中恩作曲


弘田三枝子さんは1947年、東京生まれ。小学校の頃に劇団に入り、中学校の頃には既に進駐軍キャンプでポップスやジャズを歌っていたそうです。レコードデビューは、 イギリスの Helen Shapiro が歌った "Don't Treat Me Like A Child" のカバー "子供ぢゃないの"。John Schroeder-Mike Hawker が作った曲でした。Helen Shapiro は14才。弘田三枝子さんも同じく14才頃です。詩を書き、実質的にプロデュースする立場の漣健児さんは、Helen Shapiro とパンチある声と弘田三枝子さんの声を重ね合わせたんだと思います。その後、海外の楽曲を中心に多くのレコードをリリースしました。

今回は海外の楽曲カバーではなく、国内の作曲家達が弘田三枝子さんに提供した楽曲を中心に聴いてみたいと思います。いずれも弘田三枝子さんの歌唱力を生かした"洋楽"です。


寝不足なの(中村八大作編曲、永六輔作詞) / 弘田三枝子(1962)

レコードデビューの翌年にリリースしたシングル。中村八大作編曲、永六輔作詞のハチロクコンビの楽曲。永六輔さんらしい楽しい詩。八大さんのメロディもスケール感あってもう"洋楽"しています。15才頃の弘田三枝子さん、素晴らしい歌唱です。


気ンなるあいつ(前田武彦作詞、三保敬太郎作曲) / 弘田三枝子(1964)

1964年のテレビドラマ『気ンなるあいつ』の主題歌。詩は放送作家でもあったマエタケこと前田武彦。曲を書いたのは、三保敬太郎。ジャズピアニスト、レーシングドライバー、俳優と幅広く活躍された人で、後に『11PMのテーマ』を作ることになります。これも洋楽ポップスを意識した曲です。


アスパラで生きぬこう(三木鶏郎) / 弘田三枝子(1962)

アスパラでやり抜こう(三木鶏郎) / 弘田三枝子(1962、CM)

CM曲を2曲。田辺製薬のコマーシャル。弘田三枝子の明るさで元気出てくるようなCM。曲はCM楽曲の先駆者の三木鶏郎さん。CMに登場した弘田三枝子さんの姿も合わせて。


レナウン ワンサカ娘(小林亜星) / 弘田三枝子(1964)

レナウンの有名CM。その後もシルヴィ・ヴァルタン(Sylvie Vartan)などが歌い、この企業の顔曲になりました。奇しくも2020年、レナウン社も新型コロナウイルス感染拡大の影響に伴い、事実上の倒産に至りました。


レオのうた(辻真先作詞、冨田勲作編曲) / 弘田三枝子・コロムビア女声合唱団(1965)

1965年のテレビ漫画『ジャングル大帝』のエンディングに流れた "レオのうた"。
テレビ漫画『ジャングル大帝』は音楽に多くの制作費をかけられた作品で、音楽を冨田勲が担当。躍動感溢れるリズムに、弘田三枝子さんの力強い歌声。弘田三枝子さんの代表作だと思います。


渚のうわさ(The End Of Summer)(橋本淳作詞、筒美京平作曲) / 弘田三枝子(1967)

1960年前半は海外の楽曲のカバーを中心にシングルリリースしていましたが、1967年から新進の作曲家、筒美京平さんが楽曲を提供するようになります。筒美京平さんは1966年に作曲家デビューしたばかりで、この "渚のうわさ" のヒットで一躍有名になります。弘田三枝子さんが歌った曲で一番好きな曲。


渚の天使 (A LONELY SUMMER)(橋本淳作詞、筒美京平作曲) / 弘田三枝子(1968)

筒美京平さんは海辺を題材に弘田三枝子さんに楽曲を提供していきます。この曲は Les Reed が書いた "It's Not Unusual"(邦題「よくあることさ」)を下敷きにしたような作品。


悲しきハート(みナみカズみ(安井かずみ)-John Schroeder) / 弘田三枝子(第14回NHK紅白歌合戦、1963)

最後に弘田三枝子さんが第14回NHK紅白歌合戦に出演した時の映像を。第14回NHK紅白歌合戦のトップバッターで歌ったそうです。元気いっぱいの弘田三枝子さんの姿を見ることができます。まだこの時代、手拍子は"表"なんですね(笑顔)。

(富田英伸)

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