XTCは英国の至宝ともいうべきベテラン・ポップ・グループです。1970年代後期のロンドン・パンク・ムーヴメントを期にシーンに登場したバンドでしたが、徐々に音楽世界を拡大するに連れ、評価も鰻昇りになるものの大ヒット曲にはずっと恵まれず、今では本国よりも日本での方が人気があるという当代随一のカルト・バンドとして位置付けられています。
 彼らの世界は、Beatles を始めとする60〜70年代の伝統的ポップ・ロックを基調とした味わい深いものであり、明らかに売れ線に背を向けているものの、その独自性と頑固一徹ぶりにより、これまでに熱心なファンを地道に獲得してきました。90年代に入ると「ブリット・ポップ」などXTCの影響を受けたグループが数多く登場し、近年ようやく XTC を再評価する動きが徐々に出てきました。
 かつては最先端志向の元気のいいロック・バンドだった彼らも、スターになることやメッセージを伝えること以上に作曲やレコード作り自体へと興味がシフトし、職人的音楽家集団へと変貌していきました。メンバーは皆、スウィンドン(Swindon)というロンドン郊外の小都市で、ある種世捨て人的で長閑な生活を送っています。現在では幾分オールドタイマーな音楽性だと当人達も認めていますが、決して後向きなのではなく、40代後半になっても「最新作こそが最高作だ」という気概で今もオリジナルな音楽を作り続けている人達です。そういう姿勢は山下達郎と相通ずるものだと思えます。

 更に両者の共通点をこじつけると、
・XTC の中心人物 Andy Partridge と達郎は同じ1953年生まれ、巳年
・近年、丁度同じ7年ぶりのアルバムを出した
・職人肌で懲り症、なかなかスタジオから出たがらない
・頑な拘りがある(方や絶対にステージに立たない、方や絶対にテレビに出ない)

 このどちらも熱心に聞き続けているリスナーは結構いまして、個人的にも約20年にわたってリアルタイムで聞き続けてきた音楽家の中で、一度もこちらの信頼を裏切らなかった希少な存在であり、共にそれ相応の思い入れがあります。
 ここでは XTC について、私なりにまとめてみようと無謀にも挑戦してみました。相当偏った話題に終始しますが、どうかよしなに。

(屈腱炎)






レーベルおよびレコード番号は、基本的に英国盤と日本盤のみを対象としますが、特記すべき場合には米国盤も掲載します。メディアはアナログ盤(LP)とCDのみです。

参考文献:

  • クリス・トゥーミィ 著、藤本成昌 訳「XTC チョークヒルズ・アンド・チルドレン」 1993年11月(新宿書房)
  • 藤本成昌 編「Fossil Fuel+ : The XTC Singles 1977-1999」1999年5月(A.Branch)
  • 雑誌「レコード・コレクターズ」1999年5月号(ミュージック・マガジン社)
  • 雑誌「The DIG」No.12, 1997年5/6月(シンコー・ミュージック)
  • 雑誌「ゴールドワックス」No.56, 1999年4/5月(バロック出版)
  • 雑誌「Beatleg」Vol.3, 1999年6月(レインボウブリッジ)
  • 雑誌「ストレンジ・デイズ」第3号, 1999年6月(ストレンジ・デイズ)
  • 雑誌「ミュージック・マガジン」1983年10月号(ミュージック・マガジン社)
  • 雑誌「ミュージック・マガジン」1989年5月号(ミュージック・マガジン社)
  • 雑誌「ミュージック・マガジン」1992年11月号(ミュージック・マガジン社)
  • 雑誌「サウンド&レコーディング・マガジン」1987年3月号(リットー・ミュージック)

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