2019.05.25 - Cinema Music Composers
What Matters Most What Matters Most
Dave Grusin

(1980)

Cinema Music Composers シリーズ、
Dave Grusin、その2回目です。

Dave Grusin は1967年公開の映画『Divorce American Style』のサウンドトラックを担当します。同年、映画『卒業』(The Graduate)の劇伴を担当。主題歌や挿入歌を Simon & Garfunkel が担当したこともあって、このサウンドトラックは人気を博します。

1968年には映画『愛すれど心さびしく』(The Heart Is a Lonely Hunter)の音楽を担当。繊細な内容の映画に合わせ、詩情溢れる素晴らしいスコアを残し、初期の代表作となります。その後も『キャンディ』(Candy、1968)、『レーサー』(Winning、1969)等の音楽を担当。

1970年代の代表作としては、『コンドル』(Three Days of the Condor、1975)、『天国から来たチャンピオン』(Heaven Can Wait、1978)、『チャンプ』(The Champ、1979)など、映画音楽家として人気を博します。

1970年代中期から1980年代にかけて、ムーヴメントとなったいわゆる西海岸コンテンポラリー・ジャズのピアノ演奏者、アレンジャーとして活躍。特に Lee Ritenour、Earl Klugh といった新進ギターリスト達の人気を支えました。このムーヴメントによって、渡辺貞夫の一連のアルバムにも参加するようになり、日本でも広く名が知られるようになります。Dave Grusin 自身も1976年にコンテンポラリー・ジャズのソロアルバム『Discovered Again!』、1977年に『One Of A Kind 』をリリースします。1978年には Larry Rosen と共同でコンテンポラリー・ジャズ のレーベル GRP Records を設立しました。

1980年代に入っても演奏者の活動と並行して、映画音楽の依頼は多く、『トッツィー』(Tootsie、1982)、『恋におちて』(Falling in Love、1984)、『グーニーズ』(The Goonies、1985)、『リトル・ドラマー・ガール』(The Little Drummer Girl、1984)の音楽を担当しました。中でも『黄昏』(On Golden Pond、1981)では繊細で美しいテーマ曲を書き、映画音楽家としての Dave Grusin の代表的な作品となりました。


500 Miles (Theme From Winning) (Dave Grusin) / Dave Grusin (1969)

1969年の映画『レーサー』のテーマ曲、"500 Miles"。冒頭のリリカルなピアノのメロディーがとっても素敵です。ストリングスも美しく響いています。映画の方は、共同製作総指揮も務めたポール・ニューマン(Paul Newman)、そして奥さんだったジョアン・ウッドワード(Joanne Woodward)の共演の作品でした。


California Montage (Dave Grusin) / Dave Grusin (1969)

同じく、映画『レーサー』から。心地よく響くティンパニ。そして軽快な女性スキャット。このスキャット、クレジットには掲載がありませんが、Sally Stevens ではないかと思っています。


Love Theme From "Fuzz" (Dave Grusin) / Bobbi Humphrey (1972)

The Trouble with Hello is Goodbye (Dave Grusin-Alan & Marilyn Bergman) / Sergio Mendes (1975)

1972年公開の映画『複数犯罪』(Fuzz、1972)のテーマ曲。女性フルート奏者、 Bobbi Humphrey の演奏で。彼女の1972年のアルバム『Dig This!』に収録されました。1975年に Sergio Mendes が Bergman夫妻の詩を得て、この曲を取り上げます。ハスキーで魅力的なボーカルはBonnie Bowden です。


The Three Days of Condor (Dave Grusin) / Dave Grusin (1975)

1975年の映画『コンドル』(Three Days of the Condor)からテーマ曲。コンテポラリー・ジャズの要素がある作品で、今でも人気高いナンバーです。とってもクールでスマートな1曲。


Theme from The Champ (Dave Grusin) / Dave Grusin (1979)

What Matters Most (Dave Grusin-Alan & Marilyn Bergman) / Kenny Rankin (1980)

1979公開の映画『チャンプ』(The Champ、1979)から。とても繊細な美しいメロディが心を打ちます。翌年、Kenny Rankin が Bergman 夫妻の詩を得て、この曲を取り上げました。冒頭の Wendy Haas のピアノが流れてきただけで涙。その後の美しいストリングスは Don Costa です。


It Might Be You Theme From "Tootsie" / Stephen Bishop (1982)

1982年公開の映画『トッツィー』の主題歌。シンガーソングライターの Stephen Bishop が歌いました。映画通で知られる Stephen Bishop ですが、他の作曲者の作品を歌うのは珍しいですね。


On Golden Pond From "On Golden Pond"/ Dave Grusin (1981)

1981年公開の『黄昏』(On Golden Pond)から。この美しいテーマ曲を聴くとあの静かな湖を思い出します。映画の方はヘンリー・フォンダ(Henry Fonda)とジェーン・フォンダ(Jane Fonda)と親子共演となり、そのヘンリー・フォンダの遺作となりました。

(富田英伸)

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