■Jerry Ross が手掛けたガールグループ

また Ross は当時人気のあったPhil SpectorShadow Morton らが手掛けていたガール・グループ・サウンドに目をつけて多くのガール・グループを Swan レーベルを根城にプロデュースしました。しかし、The Sapphires 以外は殆どヒットには至らず。

特筆すべきはそのバックの演奏力の高さであり、例えば The Sapphires のデビューとなった " Where Is Johnny Now " の演奏者には、キーボードに Leon Huff Thom Bell、ギターに Bobby Eli, Joe Macho のベース、ヴァイブに Bobby Martin といった面々で後に1970年代にフィリー・サウンドを形作った人達が勢揃いしています。



The Sapphires

メンバーは Carol Jackson, George Garner, Joe Livingston で女性1人に男性2人の黒人グループ。Ross が手掛けたガール・グループでは最も成功したグループで女性の Carol Jackson の落ち着いたボーカルがとても魅力的。1950年代中頃から活動しており、 バラード・ナンバー " Where Is Johnny Now " を Swan レーベルからリリース。その後、Kenny GambleJerry Ross との共作となった " Who Do You Love " はポップ・チャートをかけ上がりヒットしました。その後、 Kenny GambleJerry Ross は彼女らに優れた楽曲を次々と提供。1964年、Ross は The Sapphires をメジャーのニューヨークのレコード会社 ABC-Paramount に移籍させ、" Gotta Be More Than Friends " (Gamble-Ross)をリリース。Kenny GambleJerry Ross 、この黄金コンビが作り出した曲は当時としては非常に洗練されており、楽曲としての質が高いものでした。またこの Gamble-Ross のクレジットを一番多く見ることができるのがこの The Sapphires 。特に " Let's Break Up For A While " という曲は深海を揺らぐような艶やかなメロディ。2人の作った楽曲は今聴いても褪せることはありません。

ABC-Paramount では音楽出版会社系のソングライター、Tommy Boyce-Bobby Hart, Wes Farrell の楽曲 " Thank You for Loving Me " 、後のバブルポップの先導者となる Arthur Resnick-Kenny Young の共作のダンサブルな " Evil One ", Lori Burton-Pamela Sawyer コンビによるモータウン・スタイルな " Slow Fizz " などをリリースし、そのサウンドはよりポップなものに変身していきました。
個人的に気に入っているのは、アレンジャ−の Joe Renzetti が作曲として参加した " Gonna Be a Big Thing " というナンバーであり、その後、日の目を見る素晴らしい Jerry Ross サウンドを予感させる見事な曲です。元々この曲はガール・グループ、The Yum Yums に書き下ろした曲。

The Best of The Sapphires (Sequel/CD)


The Sapphires / Why Do You Love (Collectable/CD)




Candy & The Kisses

メンバーは Candy Nelson とその妹姉の Sunanne、そしてスクール・メイツの Jeannette Johnson の The Dixe Cups スタイルの黒人女性3人組で、1964年に Cameo レーベルから出した、Gamble-Ross コンビの " The 81 " が小ヒット。その後、The Ronettes の " Soldier Baby (of Mine) " (Anders-Poncia)のカバーをリリース。このことなどから Ross が Phil Spector を充分意識していることが伺えます。後に、Candy & The Kisses は Cameo を離れ、 Nick Ashford-Valerie Simpson のプロデュースにより、Scepter より数枚のシングルをリリースしているようです。

(Honey Love And) The Lovenotes

やはり、Candy & The Kisses に似たグループで、1965年 Cameo から Gamble-Ross が書いた " We Belong Together " をリリース。そのB面は The Crystals の " Mary Ann " (Anders-Poncia-Spector)もカバーしています。

The Yum Yums

1965年に ABC-Paramiunt から Joe Renzetti が作曲に参加した " Gonna Be a Big Thing "をリリース。その他、Ashford-Valerie Simpson が書いた " Looky Looky(What I Got) " というナンバーもリリース。

The Swans

Swan レーベルの名をそのままいただいた The SwansJerry Ross が手掛けたグループの中でも初期に属します。1963年に Gamble-Ross が書いた " You Better Be A Good " という曲をリリース。

これらの音源は Jerry Ross が手掛けたガール物のコンピレーションで聴くことができます。

V.A. / Slow Fizz〜Jerry Ross Girl Groups(Sequel/CD)




April Young

Jerry Ross 夫人となる April Young
1963年に Columbia から " Gonna Make Him Baby " をリリースした美人歌手。いわゆる Phil Spector クローンのガール・サウンドで、作曲には Anders-Poncia が加わっています。April Young は本名を Janice Fridman といい、後にこの女性は Jerry Ross と結婚することになります。




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