2020.12.01 - Songwriter
Love Love Love Love Love Love
James Ralph Bailey

(1974)

(2020年11月29日SSB「スイート・ソウルで棚からひとつかみ」で、 J. R. Bailey "Love, Love, Love" がかかりました。Songwriterシリーズ2017年11月16日分をアップグレードして再アップします。)

Songwriterシリーズ
J. R. Bailey こと、James Ralph Bailey を取り上げたいと思います。

先に取り上げた ソングライター Rudy Clark ですが、1960年代中期以降はこの J. R. Bailey との共作が多くなっていきます。

1950年から1960年代にかけて星の数ほどの Doo Wop グループが世に出ました。そういった Doo Wop グループからも素晴らしい人材が輩出されています。James Ralph Bailey もその1人。James Ralph Bailey 自身、1960年初頭からレコードをリリースしています。ソングライターとしてもとても優秀な人でした。

James Ralph Bailey こと J. R. Bailey は1932年生まれ、1980年に亡くなっています。
Doo Wop グループ、The Cadillacs は1953年ニューヨークで結成されており、J. R. Bailey は1956年にグループに加入、1972年までグループ在籍しています。
1960年初頭には自身のグループ、The Cadillacs に曲を書いたり、Jimmy Bailey 名義でソロ・シングルをリリース。その後1960年中期頃からは、Bobby Harris、The Mad Lads、Ben E. King、Chuck Jackson 、The Orlons、The Platters、The Sweet Inspirations といった人達に楽曲提供。その多くは Rudy Clark、Ken Williams といったソングライター達との共作です。

1970年代に入ると、lsaac Hayes-Millie Jackson、The Main Ingredient 等がJ. R. Bailey の楽曲を取り上げます。
1972年に J. R. Bailey は自身のシングル" Love, Love, Love" をリリース。1973年、Donny Hathaway がアルバム『Extension of a Man』でこの曲を取り上げ、評判を呼びます。それを受けるような形で、J. R. Bailey は1974年に自身の初のアルバムとなる『Just Me N' You』をリリース。このアルバムに" Love, Love, Love"も収録されています。

J. R. Bailey は結局、アルバム『Just Me N' You』と1977年リリースの『Love And Conversation』の2枚しかアルバムを残しませんでした。いずれもセールス的には不振。しかし特に後述するように、特にファースト・アルバム『Just Me N' You』は大変優れたアルバムだと思います。

J. R. Bailey が書いた楽曲、そして J. R. Bailey 自身がリリースした楽曲の中から、僕の好きな曲を書いていきたいと思います。


I Miss Her (J. R. Bailey-Vernon Harrell) / Jimmy Bailey (1965)

1965年、J. R. Bailey が Jimmy Bailey 名義でコロンビアからリリースしたシングル。当時、The Shirelles などを手掛けていた Horace Ott がアレンジを担当。聴いてわかる通り、Jimmy Bailey は歌がうまく、声もしなやかないい声をしています。グループ、The Cadillacs に声をかけられたのもわかります。


Everything (J. R. Bailey-Johnny Northern-Rudy Clark) / The Orlons (1967)

ガールグループに提供した曲を2曲程。
ソングライター Rudy Clark との共作曲。1967年、The Orlons への提供曲。聴いての通り、センスいいメロディラインです。かつてKENTからリリースされたガールグループの優秀オムニバス・コンピ『Where The Girls Are』に収録されていたナンバー。


Someone Out There (J. R. Bailey-Rudy Clark) / The Flirtations (1968)

以前に The Gypsies と名乗っていたガール・グループ、The Flirtations。長い歴史を持ったガールグループです。同じく、Rudy Clark との共作です。同年、 同様のガールグループ、Candy And The Kisses も取り上げています。


After Hours (J. R. Bailey-Ken Williams-Rudy Clark) /J. R. Bailey (1972)

Heaven On Earth (J. R. Bailey-Ken Williams-Rudy Clark) / J. R. Bailey (1972)

Love Love Love (J. R. Bailey-Ken Williams) /J. R. Bailey (1972)

J. R. Bailey の1974年リリースの初アルバム『Just Me N' You』にも収録された3曲を。聴いてわかるように、揺らめく"ソウル=魂"の波に酔いしれてしまうような心地いい曲達。
Marvin Gaye『What's Going On』 (1971)、William DeVaughn『Be Thankful for What You Got』 (1974)などの延長上にあるサウンド。特に『What's Going On』からの影響は大きいと思います。アルバム単位でのアレンジは Bert De Coteaux、Horese Ott、Ken Williams、J. R. Bailey 自身が当たっています。Donny Hathaway が注目したのもよくわかります。


That's Love (J. R. Bailey-Ken Williams) / J. R. Bailey (1977)

遺作となった1977年のアルバム『Love & Conversation』から。心地よいダンスナンバーです。アレンジは "A Million To One" や "Twist & Shout" を書いたことで知られる Phil Medley です。


Love Won't Wear Off As The Years Wear On (Billy Guy) /J. R. Bailey (1968)

これは J. R. Bailey が書いた曲ではないですが、いい曲なので是非とも。とってもカッコいい曲で昔から好きな曲。書いたのは Billy Guy という人で、これまた Coasters 出身の人です。1968年にリリース。ボーカリストとしての J. R. Bailey も素晴らしいです。


* 写真は The Cadillacs の写真で、一番右のピアノに向かっているのが、J. R. Bailey 。
(富田英伸)

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