2020.11.11 - Songwriter
Lonely Boy Lonely Boy
Andrew Gold

(1975)

(2020年11月8日SSB「頭の拍が分からない曲で棚からひとつかみ」で、Andrew Gold "Lonely Boy" がかかったので)

Songwriterシリーズ
今回は Andrew Gold を取り上げます。

Andrew Gold は1951年、カルフォルニア州バーバンク生まれ。父親はオーストリア生まれでハリウッドで活躍した映画音楽家、Ernest Gold。母親はハリウッドで多くのミュージカル映画で歌の吹き替えを行ってきた Marni Nixon です。

音楽一家で育った Andrew Gold は10代の学校生活をイギリスで過ごしました。16才の時、そのイギリスで Charlie Villiers という友人と Villiers and Gold とデュオを組み、"Of All The Little Girls" C/W "This East" というシングルをリリースしています。

相棒だった Charlie Villiers はその後、フォトグラファーに転身。Stephen Bishop のデビューアルバムとなった『Careless』の内ジャケットには彼が撮った写真が使われています。Villiers and Gold は1枚きりのシングルリリースで、Andrew Gold は学校卒業と共にアメリカ西海岸に戻ります。

故郷のアメリカ西海岸で女性シンガーソングライターの Wendy Waldman、Karla Bonoff、そして Linda Ronstadt が在籍していた Stone Poneys の Kenny Edwards と Bryndle というバンドを結成。Bryndle は1971年に A&M Records からシングルリリースしています。その時、Lou Adler がプロデューサーに就きました。後にこの Bryndle は1995年に再結成し、アルバムをリリースしています。その Bryndleの人脈を通じ、ギター、キーボード、ドラムス演奏にも長けていた Andrew Gold は、Wendy Waldman 初め、Maria Muldaur、Randy Edelman、Carly Simon、Art Garfunkel など西海岸のレコーディングセッションに参加するようになります。特に Linda Ronstadt の一連のアルバムではマルチミュージシャンとして八面六臂の働きを魅せます。

1975年に Asylum Records からソロアルバム『Andrew Gold』をリリース。翌年にセカンドアルバム『What's Wrong with This Picture』をリリース。このアルバムからシングルカットされた "Lonely Boy" は Billboard singles chart の7位のヒットとなります。

1981年には 10cc のアルバム『Ten Out of 10』に参加。Eric Stewart、Graham Gouldman と一緒に楽曲共作も行っています。特に Graham Gouldman とは仲が良く、1983年にはバンド Wax を結成して音楽活動を続けました。

Andrew Gold が作った楽曲を聴いていきたいと思います。


This East(Andrew Gold-Charlie Villiers) / Villiers And Gold(1968)

イギリス留学時代、16才の頃に作った作品。友人の Charlie Villiers との共作曲です。時代を反映したサイケデリックなフォークサウンドをしています。


Something New(Andrew Gold) / Barbi Benton(1976)

モデル出身の Barbi Benton が Playboy Records からリリースしたアルバム『 Something New』の表題曲。Andrew Gold はギター、ピアノ、バックボーカルとして参加しています。爽やかカントリーポップなナンバーです。


Try Me Again(Andrew Gold-Linda Ronstadt) / Linda Ronstadt(1976)

1976年の Linda Ronstadt のアルバム『Hasten Down The Wind』から。Bryndle 全員がレコーディングに参加。ピアノ、ギターは Andrew Gold が弾いています。プロデュース は Peter Asher。しっとりとしたカントリーバラードです。


Lonely Boy(Andrew Gold) / Andrew Gold(1975)

Andrew Gold のソロアルバムから好きな曲、2曲を。1975年のアルバム『What's Wrong With This Picture』から。シングルカットされ、Billboard singles chart の7位となります。バックボーカルには Linda Ronstadt が執っています。ベースは Kenny Edwards。プロデュース は Peter Asher。何度聴いても不思議な感覚に陥ります。


Genevieve(Andrew Gold-Brock Walsh) / Andrew Gold(1978)

1978年のアルバム『All This And Heaven Too』に収録。パーカッション以外は全て Andrew Gold の演奏です。とても切ない曲。Andrew Gold の楽曲で一番好きな曲です。


Runaway(Eric Stewart-Graham Gouldman-Andrew Gold) / 10cc(1981)

1981年の 10cc のアルバム『Ten Out of 10』から。翌年にアメリカで再編集されWarner Bros. Records からリリースされた盤に収録された楽曲。3人の共作曲となっています。Andrew Gold が10代をイギリスで過ごしたことで 10cc の世界観とも接点があったのかも知れません。


Love Tonight(Graham Gouldman-Andrew Gold-Mike Botts) / Fraternal Order of the All(Andrew Gold)(1997)

1997年、Andrew Gold が TheFraternal Order of the All 名義でリリースしたアルバム『Greetings From Planet Love 』から。10cc、Wax で共に行動してきた Graham Gouldman、Bread に在籍していた Mike Botts との共作曲です。The Beach Boys を意識したサウンドを再現しています。


Sh-Boom(James Keyes-Claude Feaster-Carl Feaster-Floyd McRae) From "CRY-BABY" / Baldwin And The Whiffles(1990)

最後にちょっと珍しい音源を。俳優 ジョニー・デップ(Johnny Depp)がブレイク前に主演した1990年の映画『クライ・ベイビー』(CRY-BABY)から。映画出演している Doo Wop グループは Baldwin And The Whiffles となっていますが、実際に歌っているのは、グループ America に在籍していた Gerry Beckley、Poco、Eagles に在籍していた Timothy B. Schmit、そして Andrew Gold の3人です。ご存知、Doo Wop グループ The Chords で知られる "Sh-Boom " を楽しく歌っています。


Andrew Gold は2011年に59歳の若さでこの世を去りました。音楽への道筋をつけてくれた母、Marni Nixon はその5年後に亡くなりました。


* 写真は、左から幼き Andrew Gold、母 Marni Nixon、父 Ernest Gold、妹 Martha Gold
(富田英伸)

シェアする facebook twitter
Copyright (c) circustown.net