第4回 : 中村欣嗣さん


中村さんが選んだ
Just Jazz

Lionel Hampton All Stars
1954 / Decca JDL-2082 / LP
 「Stardust」をラジオで初めて聴いた時には「何これ!」といった感じで鳥肌が立ちました。東京中のレコード屋を探し回ったんですが、しょっちゅう行っていた山野楽器あった(笑)。何がいいかというとアルト・サックスとバイブ絡みがいいんですよ。あの、吹きかたかな。Lionel Hampton は旨いこと乗せてるんですね。コードをこういう風にやったら多分こう吹いてくれるだろうということを予想しながら叩いているような気がしてしょうがない。そこが魅力ですね。こういう駆け引きとか掛け合いがジャズの面白いところですね。これをきっかけにいろんな人がやっている「Stardust」ばかりを集めているんですよ。
Moanin'

Art Blakey And Jazz Massengers
1958 / Blue Note 4003 / LP
 中学生くらいのとき、鉱石ラジオを作ったんですけど出来上がってスイッチを入れて、最初に受信できたのがNHK第二放送。「ジャズ・フラッシュ」って番組で、その時たまたま流れてきたのが、「Moanin'」だったんですよ。これがきっかけでジャズを聴くようになったんです。それで演っている人とか曲名を聞き取ろうとするんだけど、田舎の少年だしラジオもポンコツだから聞き取れないわけですよ。そうやって耳コピーしてドラムの譜面を書いたりしていましたね。
白木秀雄のステレオドラム Black Mode

白木秀雄 5ted.
1998 / テイチク TECW-20734 / CD
 白木さんはモダン・ジャズでスイング・ジャズはジョージ川口さんという感じでしょうか。若い頃、実は白木さんのドラムに師事していたことがあるんです。白木さんは Art Blakey とも仲が良くて、赤坂の自宅に彼を招いたりしていたんですよ。芸大を出られた方でアカデミックな面でもすごく尊敬していました。思い入れと言うにはおこがましいですが、ああいうドラムを叩きたいなあ、という「夢」でしたね。CDで再発されてすごく嬉しかったですね。

【中村さんのホームページ】
 趣味レーション(http://www15.u-page.so-net.ne.jp/qd5/wasp-kn/)

【中村さんのお店】


ダイナミックオーディオ・サウンドハウス

OPEN am10:00〜pm7:00
年中無休


Tel : 03-3253-2001 Fax : 03-3253-2006
〒101-0021 千代田区外神田1-2-5







取材を終えて

 「実際に音が聴けたほうが良いでしょう」。ということでお店でのインタビューとなったわけですが、我々を待ち受けていたものはずらりと並ぶハイエンド機器の数々。裏腹にニコニコと人懐っこい笑顔で現れた中村さん。得意のダジャレを連発しながら話は縦横無尽に展開されていきます。途中で聴かせていただけるマニア垂涎の音源もともかく、その音像のすばらしさ。気持ちよく鳴っていて溜息の連発。
 ご自身がプロのドラマーとしての体験もお持ちの中村さんにとって、オーディオとはいかにミュージシャンの理想の音を鳴らしてあげられる道具であるか、と明快。ミュージシャンとしての体験が、演奏者の気持ちになって純粋に音楽を楽しめるオーディオ選びという確かなベクトルを育んでいったのだろうと感じられました。
 オーディオというのはそこに記されているスペックの高さだけが問題なのではないのだという思いがひしひしと伝わってきました。
 大滝詠一さんや山下達郎さんとの試行錯誤の数々も、そんな信念と真摯な思いが結実した結果なのだということを、でもそのような苦労を感じさせない中村さんの楽しいトークのなかから、ほんのりと感じることが出来たインタビューでした。(脇元和征)

聞き手:福田博樹/たかはしかつみ 構成:脇元和征 写真:荒瀬俊也



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