第4回 : 中村欣嗣さん



どうやって残すかは永遠の課題

-「サンデー・ソング・ブック」のような番組をエア・チェックしてずっと取っておきたいと思っている人はたくさんいると思うんですけど、一つの悩みとしては、まず留守録をしなくてはならないので、アンプをタイマーに通さなくてはならないんですね。タイマーの電源はあまり良くないと思うので、そこで何か音が悪くなる不利益があると思うんです。それともう一つは、録音するメディアとして何を選べばいいのか、ということです。DATが一番いいような気がしますが、ランダム・アクセスを考えるとMDも捨てがたいので、その辺で何かアドバイスをいただきたいんですけど。
 僕も留守録して聴いています。最近僕は3台でやっていますよ。DAT2台にMD1台。MDは聞き用。でもタイマー1台なんで、タイマー壊れたらおしまいですよ。ただ、いざというときは、ちょっと言うとスタジオのあれ(マスターのコピー)をもらえるから(笑)。でもいつもというわけにはいかないんで。去年までは普通のスピードでやってたんですけど、テープが溜まって効率良くないんですよね。毎月2本。それで、この前も放送で誰か言ってたけど、倍速で録って、5回ある月は180分テープを使って月に1本。これが一つの理想型だと思いますよ。すぐ曲に飛びたいんならMDしかないんですけど。今考えているのは全部 MP3 に落としてハードディスクに保存する方法です。60Gを一発買っておけば、MP3でも、そうとう入りますから。ちなみに大滝さんはどうやっているかというと、ハードディスクのはめ込むやつがあるじゃないですか。あれをいっぱい買ってます。今はテープは使っていませんよ。
-それに大滝さんは何を入れてるんですか?
 テレビを録ったやつとかいろいろですよ。だから大滝さんはSONYのギガポケット専門です。まあ昔の画像はビデオでとってあるみたいですけどね。ビデオの使用量は半端じゃなくて、毎月箱で100本以上録っていましたから。余談だけど、大滝さんの家に行ってほめられたのは、LDとかCDがいっぱいあって、普通の人は「こんなにいっぱいあって聞くんですか?」って言うらしいんですよ。でも僕はそういう聞き方しなかったんです。「ああ、たくさん聞きましたね」。そういう人は希だそうですよ。

-普通の人は最初にまず数に圧倒されちゃうんでしょうね。
 僕もけっこうある方だったから。聞かない物は買わないじゃない。買ったら絶対に聞くから。
 さっきの話に戻ると、僕はハード・ディスクにMP3で保存することを研究してます。

-MP3だとなんとなく音が悪くなるんじゃないかな、という心配があるんですけど。どうしても圧縮しているので・・・。
 でもさっきMP3で音出してみたけどあんな程度ですよ。あれで満足いかないかなあ、とも思うんだけど。要するに山下さんが放送で送っている物は僕にとっては資料的な物でしかないんですよ。いい音では送ってくれているけれど。欲しければ本物買って、僕はマッキントッシュのアンプ使っているんですけど、それにはイクスパンドとかコンポジットとかついてるんで、それで自分でやってもけっこうなところまでいくんですよ。放送で送ってきても、所詮上は15,000Hzで切れてるんだから。山下さんも前に放送で言っていたけど、みんな勘違いしてるんだよね。FMは上は15,000で切れているんだから、やっぱりCDの方がいい音なんですよ。

-でも時々自分が持っているCDより放送のほうがいい音がしているような気がするんですよね。
 それはやっぱり向こうはシステムがいいから。さっき言ったように、レンジはいらなくて中域さえしっかりしていればいいので、中域の音圧を上げてるから。

-ミッドロウってやつですね。
 そうそう。放送を録っておくにはMDもいいかもしれないけど、MDも圧縮して音はスカスカだからね。今になって思えば、カセットってけっこう音は良かったかな、と思うね。昔の音源はオープンリールで録ってカセットに落としてたんだけど、今聞くとなかなかいいんですよ。雰囲気がある。保存の事を考えるならば、CDRが一番ですわ。CDR安いから2枚焼いて1枚はバックアップ。それから紫外線に弱いから押し入れの隅っこに保存しておいて、普段聞く方はそのまま捨ててもいいし。すごく重要なやつならば3枚焼いて、2枚保存しておく。CDRだったらそれほど場所もとらないし、今やるんだったら絶対にCDRだと思いますよ。このあいだ新聞で、「CDRの寿命は半永久じゃない」と書いてあったけど、あなたの命も半永久じゃないですから。

-ごもっともで(笑)。
 要するに僕が集めた諸々を娘、息子が聴くかというと、聴かないからね。
-カセットとDATを比べた場合、DATの方がデジタル録音である分だけ保存性は良いと考えていいですか?
 音としての保存性はいいけど、DATのテープはカセットより細くて薄いからテープ自体の経年変化だけが心配。

-そうするとやっぱりディスクに落とした方がいいということになりますかね。
 やっぱりディスクですよ。結局そういう過程をふんで今ディスクになっているわけだから、やっぱり僕は、テープの時代は終わったと思うんです。それは大滝さんも言っているし、山下さんも言ってますよ。ただ、いい音でCDRに残したいならばちゃんとしたDATを買った方がいい。まずDATでエアチェックして、CDRに落とす。パソコンのCDRはカスカスでダメです。聞き比べてみればすぐにわかる。でも自分のパソコンのシステムでやってみて、それで納得いけばそれでいいと思う。

-ということは、パソコンではなくて、据え置きのCDレコーダーを使うということですね。
 そういうことです。民生用のディスクはまだ高くて1枚50円というわけにはいかないけど、僕とか大滝さんは高くても使っていますよ。それからみんな使っているんだけど、ティアックが出しているCDRのダビング機。4倍速でダビングできます。10万円くらい。これを使うと、音楽CDでもパソコンソフトでもすべからく、4倍速でダビングできる。従って業務用です。最近は8倍速のものも出てきたけど、8倍はお勧めできない。今は4倍くらいが限度。ただね、いろいろとお金かかるかもしれないけれど、僕らがレコード一生懸命買ってた時代は1枚2,500円ですからね。給料は1万円の時代ですよ。今の初任給が20万円として、4分の1だったら5万円ですよ。そういう風に考えると、音楽好きだったら、オーディオにもう少しお金かけてもいいと思う。「サンデー・ソング・ブック」をラジカセで録って聴いてほしくない。できればちゃんとしたステレオで聴いてほしい。山下さんのファンとしては。あれだけ一生懸命気入れて自分で投資して、いい音で送り出しているんだから、やっぱりそれなりのシステムで聴いてほしいですね。

-これは今日の肝ですね。



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