White Christmas
Les Paul & Mary Ford
195? " Christmas Cheer! " Capitol EAP 1-543 / Single
 大学時代にバイト先で知り合った泉谷しげる似のオッサンは、カントリーやオールド・アメリカン・ロックが大好きで、僕がバイトを辞める時に6本の自作のテープをくれました。
 そのテープの内容は、その後の僕の音楽嗜好を決定づけるような素晴らしい曲のオンパレードで、中でも特に気に入ったのが Les Paul & Mary Ford の「The World Is Waiting For The Sunrise」でした。それからというもの僕は Les Paul & Mary Ford のレコードを見つける度に買ってしまうクセがついてしまい、自分にとって Les Paul とはギブソンのギターではなく、あくまでも"& Mary Ford"なのだという非ロック的認識を今でも持っているわけです。
 そんなわけで、この Les Paul & Mary Ford のクリスマス・7インチ『Christmas Cheer!』をパリの蚤の市で見つけた時は、その逸品なジャケット・デザインを吟味するのも忘れ、喜んでレジへと持っていったのでした。
 「Jingle Bells」、「Silent Night」、「White Christmas」、「Santa Claus Is Coming To Town」の4曲入りで、その内「Jingle Bells」と「Santa Claus Is Coming To Town」がLes Paul のギター・インストで、「Silent Night」、「White Christmas」が奥さん Mary Ford のヴォーカル・ナンバー。Les Paul のギター・インストは特徴的な金属音がたまらなくキュート&ストレンジ。録音の年が記されていないので分からないのですが、音を聴く限りでは50年代に試行錯誤を繰り返し完成された多重録音による「ギター・オーケストラ」は、このクリスマス・チューンでも十分に味わえます。

 でもここでの一押しはやはり Mary Ford のヴォーカル・ナンバーの2曲でしょう。特に「White Christmas」は甘ぁ〜いヴォーカルにとろけるようなグット・タイミー・サウンドが何ともロマンティック。イントロのギターはクリスマスというよりもハワイアンの趣で、これは西海岸の録音だからでしょうか。
 「Silent Night」ではよく聴くと、Mary Ford のヴォーカルのバックにLes Paul のギターによるサウンド・コラージュ(雪降る音の如くジュワジュワジュワ…)が小さく鳴っていたりして、さすが元祖音響派!と唸ってしまいます。
 宅録度の高いLes Paul のソロよりも、やっぱりMary Ford とのオシドリ録音の方が好きなんですよね。なんかあったかくて…(笑)。


こちらは同時期発売された東芝赤盤。2曲入り

(高瀬康一)



Christmas Wish
NRBQ
1986 " Christmas Wish " Rounder Records EP2501 / LP
 NRBQ は世界一幸せなバンドだと思います。なんたって音楽を愛しているし、それ以上に音楽に愛されている。自分がもし生まれ変わるならNRBQ のメンバーになりたいです。Elvis Presley やPaul McCartney もいいなと思うけどプレッシャー凄そうだし(笑)、やっぱり売れなくてもいいから最高に楽しいライヴを毎晩やれる方が幸せなんじゃないかなんて…。
 そんなことを思いながら観た先日のNRBQ 来日ライヴ。相変わらずクラビネットを空手チョップ奏法でギゴギゴ弾きまくる Terry Adams と、そのTerry のハシャギっぷりを微笑ましく見守る Joey Spampinato 、観る度にギターの音が鋭くなる Johnny Spampinato 、今回は Danny & the Juniors の「At the Hop」をカラオケで披露してくれた Tom Ardolino の愛すべき fab-Q-4。超高速Rock'n Roll と激甘メロディの落差はいつものことだけど、今回は更にホーン・セクション"Whole Wheat Horns"の活躍で、NRBQ 本来のアメリカン・ルーツ・ミュージック嗜好が色濃く出たライヴとなったような気がします。
 The Everly Brothers「Let It Be Me」や The Beatles「I Don't Want to Spoil the Party」(この曲を選ぶセンスの良さ!!)といったポップ・カントリーのカヴァーも最高だし、カラオケで「My Way」をみんなで歌い回す(笑)という日本ウケを狙ったギャグも最高。でも一番最高だった瞬間はアンコールで演ってくれた「Christmas Wish」かな。

 センチでスウィートなメロディを書かせたらアメリカ随一(と僕は思ってます)の Joey Spampinato の作品「Christmas Wish」は、86年に発表された12インチのミニ・クリスマス・アルバムに収録されています。もともとは79年に知人たちのみに配布されたもので、翌年に自分達のレーベルRed Rooster から7インチで再発されました。その後86年に12インチ化、そして最近になって Dreamsville から大幅に楽曲を追加した『NRBQ のクリスマス・ウィッシュ(デラックス・エディション)』として登場。もはやクリスマス・アルバムの大定番として定着した感もあります。
 今回紹介する12インチ盤は8曲入り。といってもJohn Sebastian 直系のグッド・タイムな名曲「Christmas Wish」以外は、まるで年一回のクリスマスの日だけ集まるいとこ達が、オモチャの楽器でジャグ・セッションしてるような(?)曲ばっかり。でもこんなにファニーでチャーミングなクリスマス・アルバムを僕は他に知らないし、あらゆるクリスマス・アルバムの中で一番好きかもしれないということで、今年も聴きまくることになると思うわけです。

(高瀬康一)

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