Winter Bossa〜Brasilian Christmas へのいざない

 ブラジルのクリスマスは夏。南半球ですから雪景色とは無縁ですが、街にはイルミネーションが輝き、ディスプレイもクリスマスらしい賑やかなものなのだそうです。各家庭ではクリスマスの飾り付けが行なわれて、イブの日には家族全員で食事をとるのが定番の過ごし方。恋人たちも、この日ばかりはおのおのの家族とターキーを取り分けるんですって。
 わたしがご紹介したい2枚のアルバムは、どっちもブラジルいっぱいのクリスマス・アルバム。耳に馴染んだ曲もポルトガル語で聴くと、感覚が違うんですよね。アコースティック・ギターをフィーチャーしたクリスマス・ソングというのも、おつなものです。

『Boas Festas』
小野リサ
東芝EMI TOCT-24460
2000/CD
 小野リサのニューアルバムは全編クリスマスソング。もちろんボサノバがアレンジの中心です。とにかくとってもハートウォーミングなんですよ。早くも我が家のこの時期の定番化は決定です。
 小野リサの歌声って、少しくぐもっていて天性の「ボサ声」だと思いませんか? 聴きこむほどに味わいが増して、「ポルトガル語を勉強して、一緒に歌えるようになりたい!」って思うのはわたしだけ? 
 世界中で歌われている歌をメインに、古いブラジルの歌も聴くことができます。タイトルチューンの「Boas Festas」は、Ivanのアルバムにも収められている曲。ブラジルでの定番クリスマス・ソングなのかな。マルシャというブラジル特有のリズムが思わず体を揺らしてしまう、楽しい歌です。
 他にも「Jingle Bell Rock」「White Christmas」「The Christmas Song」など、誰もが口ずさむ歌が、彼女によっていっそう暖かみを添えられてわたしたちの耳に届けられます。気心知った仲間との演奏が、彼女をよりリラックスさせている印象を受けます。このアルバムを聴いていると、雪がしんしん降る夜に暖炉の前でミルクティを飲んでいる気分がします。



 一方、Ivan Linsの『Um Novo Tempo』は昨年出たアルバムですが(輸入盤のみ)、こちらも定番化は必至。子どもたちの合唱や笑い声がフィーチャーされていて、「クリスマス=教会=聖歌隊」という図式を思い浮かべるわたしには、たいそう厳かな気持ちにさせられそうなところだけど、もっとラフなコーラスなのです。こんな聖歌隊の歌うミサなら気軽に参加できそうです。
 1曲目の「Um Feliz Natal」はあの Jose Feliciano が曲作りとボーカルにも参加しています。個人的には、クリスマスの高揚感がよく表れていて一番好きな曲。クリスマス気分を盛り上げる「Entao E Natal(War Is Over)」は、いわずもがなの John Lennon の名曲です。もはやスタンダードになったんだなぁと感慨もひとしおですね。有名なドイツ民謡「O Tannenbaum」のポルトガル語版「Um Bom Natal」は、せつない気持ちにさせられるいいアレンジです。
 この時期だけのにわかクリスチャンは日本人の悪いクセだけど、このアルバムを聴くと一瞬だけど信仰心が芽生えるかも。Ivan の声って、クリスマスにもはまるわぁ。


(なかのみどり)

『Um Novo Tempo』
Ivan Lins
Abril Music 1107019-2
1999/CD





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