home about

多くの作曲家に信頼されたスタジオシンガー Sally Stevens

2026.01.29
A Silver Ring

A Silver Ring

Sally Stevens Part 2

(1960)

#Magic Voice

Magic Voicesシリーズ
今回は Sally Stevens について再度取り上げます。

シンガー、Sally Stevens さんについては、Magic Voicesシリーズ の2回目で取り上げましたが、より踏み込んで取り上げていきたいと思います。

Sally Stevens はスタジオワーク中心に活動し、アメリカ音楽の中核を支え続けた職業シンガーです。

彼女は1960年頃、ラスベガスのプロダクションシンガーとして働き、その後ロサンゼルスでのレコーディングとコマーシャル、テレビショーの仕事を開始。UCLAの学生中に Herb Alpert と Jerry Moss が設立した A&M Records のスタジオに出入りするようになったようです。その頃レコーディングしたシングルが以下です。Dot Records からリリースされ、Sally Stevens 自身が曲を書いています。プロデュースに就いたのは Herb Alpert と Lou Ader です。


A Silver Ring (Sally Stevens) / Sally Stevens & The Deltas (1960)



1950年代後半から1960年代初頭にかけて、アメリカではロックンロールとポップスの市場が急拡大し、レコード会社やスタジオでは大量の録音需要がありが、彼女はその流れの中で、若手ながら安定した実力を持つシンガーとして注目されるようになります。

1960年代初頭、Dot Records から Sally Stevens & The Deltas 名義で発表されたこの"A Silver Ring"は初期の作品になります。この時期の彼女は、いわゆるガール・グループ路線やティーン向けポップスの文脈に位置づけられていましたが、歌唱そのものは非常に完成度が高く、すでにスタジオ・シンガーとして通用する正確さと表現力を備えていました。この録音経験が、後の幅広い仕事につながる実践的な基盤となったと考えられます。

その後、Sally Stevens はソロアーティストとしての表立ったリリースよりも、スタジオワークに活動の重心を移していきます。1960年代半ば以降、ロサンゼルスを中心とした音楽制作現場では、映画音楽、テレビ番組、CM、インストゥルメンタル作品において、匿名性の高い実力派ボーカリストが不可欠な存在となっていきます。彼女はその中で、作曲家やプロデューサーから強い信頼を得る存在となり、数多くの録音に参加します。

特に重要なのが、Burt Bacharach との関係です。Burt Bacharach は高度な和声感覚と変拍子を多用する作曲者であり、シンガーには繊細な感情表現を求めました。


Charlie ( (Burt Bacharach-Hal David) / Burt Bacharach Live Vocal by Sally Stevens (1977 Live)



1977年、Burt Bacharach のライブパフォーマンスの模様。このように Burt Bacharach は自身のライブで Sally Stevens を度々起用していました。


There Is Time (Burt Bacharach-Sally Stevens) / Burt Bacharach And The Houston Symphony Orchestra (1979)


1979年、Burt Bacharach And The Houston Symphony Orchestra 名義でリリースされたアルバム『Woman』より。この録音の主体はオーケストラですが。そのオーケストラと一体化するような歌唱 が求められており、彼女のソプラノは極めて際立っています。詩を書いたのも Sally Stevens です。




Sally Stevens は1970年代以降、Ray Conniff And The Singers、The Bob Alcivar Singers、The California Dreamers、Paul Johnson Voices などのスタジオボーカルグループに参加して活動していきます。近年は映画音楽の合唱指揮者として活動、写真家としても活躍しているそうです。映画音楽として参加しているものを2曲程。


Sugar In The Rain (Alan Bergman-Marilyn Bergman-Sid Ramin) / Sid Ramin (1969)


1969年、Sid Ramin が書いた映画『USAブルース』 (STILETTO) の挿入歌。Bergman 夫妻が詩を書いています。ボサ調でいい感じ。



California Montage (Dave Grusin) / Dave Grusin (1969)


1969年の映画『レーサー』から。Dave Grusin が書いた曲です。心地よく響くティンパニ。そして軽快な女性スキャット。このスキャット、クレジットには掲載がありませんが、Sally Stevens だと思います。

(富田英伸)