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クリスマスの曲をオリジナルで聴いてみよう

2025.12.11
Christmas Music Special Vol. 2

Christmas Music Special Vol. 2

Various Musicians

(2025)

#Songwriter

Songwriterシリーズ
前回もやりましたが今回も。クリスマスの曲を (できる限り) オリジナルで聴いてみようという特集です。

このクリスマスが近づくと、街中からクリスマスソングが流れてきます。その多くがインストだったり、有名シンガーが歌ったものだったりなかなかオリジナルのバージョンで聴く機会が少なくなりました。
今回もクリスマス曲をできる限り、オリジナルもしくはオリジナルに近いものを聴いていただければと思います。今回の聴き比べは、1963年『A Christmas Gift for You from Phil Spector』のステレオ盤、1975年にリリースされた『Phil Spector's Christmas Album』でいきます。

1975年リリース『Phil Spector's Christmas Album』については以下を参照ください。

Phil Spector's Christmas Album (1975)

では早速。


It's a Marshmallow World (Carl Sigman-Peter DeRose) / Jo Stafford (1950)

Marshmallow World (Carl Sigman-Peter DeRose) / Darlene Love (1963-1975 Stereo)

1949年、"Deep Purple" などを遺した作曲家、Peter DeRose と作詞家、Carl Sigman が書いた作品。翌年の1950年には、 Bing Crosby 初め、Ray Anthony、Vic Damone、Johnny Desmond、Arthur Godfrey、Vaughn Monroe、Jo Stafford が録音し、大競作となりました。軍配が上がったのは、Bing Crosby のバージョンで Billboard's Best Selling Pop Singles chart で24位となりました。今回は贔屓で Jo Stafford のバージョンを。
1975年ステレオ盤『Phil Spector's Christmas Album』では、Darlene Love が歌っています。


Santa Claus Is Comin’ to Town (J. Fred Coots-Haven Gillespie) / Harry Reser and His Orchestra Vocal By Tom Stacks (1934)

Santa Claus Is Comin’ to Town (J. Fred Coots-Haven Gillespie) / The Crystals (1963-1975 Stereo)

1934年に J. Fred Coots と Haven Gillespie によって書かれた曲で、この年にバンジョー奏者の Harry Reser とその楽団が録音しました。それがヒットとなり、多くのシンガー達が取り上げました。一番有名なのは、1947年の Bing Crosby and the Andrews Sisters のバージョンだと思います。Harry Reser のバージョンでヴォーカルを執っている人はドラマーでもあった Tom Stacks いう人です。
1975年ステレオ盤『Phil Spector's Christmas Album』では、The Crystals が歌っています。




ここからは"クリスマス男" Gene Autry のことも交えて。
Gene Autry は1930年代から活躍した俳優、カントリーミュージシャン、歌手、作曲家、ロデオパフォーマーで、既存のクリスマスに関する歌や音楽を披露してきた人物でもあります。以下の曲達は Gene Autry の歌唱によってレコード化され、ラジオを通じて多くの人々の耳に届き、その後、プロのシンガーのみなならず、一般の人々を歌うようになりました。


Here Comes Santa Claus (Gene Autry-Harriet Melka-Oakley Haldeman) / Gene Autry (1947)

Here Comes Santa Claus (Gene Autry-Harriet Melka-Oakley Haldeman) / Bob B. Soxx & The Blue Jeans (1963-1975 Stereo)

1947年、Gene Autry はハリウッド・クリスマス・パレードで馬に乗っていた際に、大勢の観客が「サンタクロースがやってくる」と叫んだことをヒントを得て、この曲のアイデアを思いついたとのこと。Gene Autry が詩を書き、友人の Harriet Melka と Oakley Haldeman がそれに曲をつけたとのこと。カントリー・チャートで5位、ポップ・チャートで9位を記録。1949年、Gene Autry が主演した映画『The Cowboy and the Indians』でもこの曲を披露しています。同年には Doris Day、Bing Crosby and the Andrews Sisters などが録音、有名曲となっていきます。
1975年ステレオ盤『Phil Spector's Christmas Album』では、Bob B. Soxx & The Blue Jeans が歌っています。


Rudolph the Red-Nosed Reindeer (Johnny Marks) / Gene Autry (1949)

Rudolph The Red-Nosed Reindeer (Johnny Marks) / The Crystals (1963-1975 Stereo)

1939年、"ルドルフ"というトナカイのキャラクターを創作した Robert L. May が義理の弟である Johnny Marks にお願いして出来上がった曲で、これがきっかけとなってその後、Johnny Marks は "I Heard the Bells on Christmas Day" など多くのクリスマスの曲を書くことになります。
それから10年後、Gene Autry は1947年の "Here Comes Santa Claus" の好評に気を良くして、この曲をレコーディング、全米チャートで1位を獲得します。元々はB面として用意されていた曲でしたが、彼の奥さんも説得でA面になったそうです。
1975年ステレオ盤『Phil Spector's Christmas Album』では、The Crystals が歌っています。


Frosty the Snowman (Steve Nelson-Walter Rollins) / Gene Autry (1950)

Frosty the Snowman (Steve Nelson-Walter Rollins) / The Ronettes (1963-1975 Stereo)

1949年の "Rudolph the Red-Nosed Reindeer" の大ヒットを受けて、Gene Autry が翌年に Gene Autry がリリースした作品。曲を書いたのはカントリー畑で活動していた Steve Nelson と Walter E. "Jack" Rollins。1950年には俳優の Jimmy Durante が録音、お馴染みのダミ声で歌って好評を博しました。
1975年ステレオ盤『Phil Spector's Christmas Album』では、The Ronettes が歌っています。






(富田英伸)