西海岸スタジオボーカリスト・オールスターチームによるコーラスグループ、Paul Johnson Voices
2025.11.25
今回は 『Paul Johnson Voices Featuring Sharalee – Songs Of John W. Peterson』 というアルバムを紹介します。
Paul Johnson は1960年後半から1980年代にかけてクリスチャン・ミュージック界隈で活動したコーラスグループ・リーダー、コーラスアレンジャーで、Paul Johnson And The Sure Foundation、Paul Johnson Singers、Paul Johnson Voices, The Paul Johnson Orchestra And Chorus といった名義でアルバムを多数リリースしていています。
今回は Paul Johnson が手がけたレコードの中で最もコーラスメンバーが豪華で、その殆どが西海岸中心に活躍してきた名うてのスタジオ・ボーカリストが参加したアルバムとなっています。言ってみれば、西海岸スタジオ・ボーカリスト・オールスターズです。
本アルバムは生涯クリスチャン・ミュージックの楽曲を1000曲以上書いてきた John W. Peterson が曲を提供、そして Sharalee (Sharalee Lucas) というクリスチャン・ミュージック界隈で活動してきたソプラノ・シンガーをフィーチャーしています。
早速5曲程、聴いてみましょう〜。
There's A New Song In My Heart / Heaven Came Down (John W. Peterson) / Paul Johnson Voices (1975)
気持ちが晴れやかになるとても心地よい1曲。ソロを Sharalee が担当しています。
No One Understands Like Jesus (John W. Peterson) / Paul Johnson Voices (1975)
ボサ調の曲で、これもソロパートを Sharalee が執っています。
How Rich I Am (John W. Peterson) / Paul Johnson Voices (1975)
冒頭のソプラノ・アルトの美しいこと!あまりに気持ち良くて眠気を誘います。
What Grace Is This (John W. Peterson) / Paul Johnson Voices (1975)
アカペラの曲。これもソロパートを Sharalee が執っています。スタジオ録音に立ち合いたかったです (笑顔) 。
Calling (John W. Peterson) / Paul Johnson Voices (1975)
これもアカペラの曲。これも心地よく気持ちは天国へ (笑顔) 。コンダクトは、Liberty Records などで Johnny Mann Singers として活躍していた Johnny Mann がゲスト・コンダクタータクトを振っています。
本アルバムに参加したボーカリストを紹介していきます。
<ソプラノ Soprano Vocals>
Sharalee Lucas
今回、ソロパートでフィーチャーされているソプラノシンガーです。テレビでホスト役でも活躍。Sharalee Beard 名義でソロアルバムも多数リリースしており、 Paul Johnson Singers など Paul Johnson 作品でも常連です。キュートな声の持ち主。
Sally Stevens
1970年代、後述する Ron Hicklin らと共に活躍した女性で、彼女の声を耳にしたことない人はいないと思います。映画『明日に向って撃て!』 (原題:BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID、1969) の "South American Getaway" のソロ・スキャットが印象的。現在は映画音楽界隈で活躍しているそうです。艶やかな美声が特徴。詳細は以下を
Magic Voicesシリーズ / Sally Stevens
Diana Lee
1965年の映画『サウンド・オブ・ミュージック』 (The Sound of Music) のクリストファー・プラマー (Christopher Plummer) の歌アテした Bill Lee の娘さんです。父と同じ職業 "ゴーストシンガー" の職に就きました。一番有名なのは映画『失われた地平線』 (Lost Horizon、1973) のリヴ・ウルマン (Liv Ullmann) の声アテ、『ドリトル先生不思議な旅』 (Doctor Dolittle 1967) のサマンサ・エッガー (Samantha Eggar) の声アテ、バックコーラスとして Bruce Johnston『Going Public』などにも参加。とても清楚な声をしています。
Andra Willis
デビュー時は The Willis Sisters として姉妹で活動。テレビ『The Lawrence Welk Show』などで活躍。先に登場した映画『失われた地平線』 (1973) にも参加しています。
Julia Rinker
大所帯のガールグループ、The Golddiggers で活躍。Van Dyke Parks『Song Cycle』 でもクレジットされています。1969年、何故か日本で 『アイ・リメンバー東京』c/w『わがままを聞いて』というソロシングルをリリースしています。
Terry Stilwell
Paul Anka『Listen To Your Heart』、Natalie Cole『Holly & Ivy』などでクレジットを見つけることができます。Terry Harriton 名義で Sally Stevens と行動を共にしているようです。
その他、ソプラノとして、Darice Richman、Suzy McCune といった方々がクレジットされています。
<アルト Alto Vocals>
Sue Allen
スタジオコーラス・シンガーの草分け的存在。Mel Tormé and His Mel-Tones 、 The Pied Pipers、The Singers Inc に在籍。Les Baxter も重宝しました。詳細は以下を。
Magic Voicesシリーズ / Sue Allen
Jackie Ward (Robin Ward)
Robin Ward の名前で 1963年リリースの "Wonderful Summer" の歌唱で広く知られています。本名の Jackie Ward で女優の歌アテ、そして The Anita Kerr Singers を初めとして多くのコーラスグループに参加。詳細は以下を。
Magic Voicesシリーズ / Jackie Ward
Myrna Matthews
売れっ子スタジオバックボーカリスト、ピアニスト。参加作品は数知れず。Dion『Streetheart』、Christopher Cross『Christopher Cross』 、Aretha Franklin『Aretha』、Whitney Houston『Whitney』等々、日本では小椋 佳『夢追い人』でクレジットあり。
Vangie Carmichael
クリスチャン・ミュージック界、アレンジャーとして活躍した Ralph Carmichael の元妻。テレビやラジオで Sonny & Cher、The Osmonds、Andy Williams などを支えました。Ray Conniff And The Singers などにも参加しました。
Melissa MacKay
Burt Bacharach『Futures』、Cheryl Ladd 『Dance Forever』、日本では野口五郎『北回帰線』、小野リサ『Dream』に参加。現在は Sally Stevens と行動を共にし、映画界で、John Williams
作品に携わっています。
Lynn Dolin
1969年、Inner Dialogue のメンバーに参加、アルバムをリリースしています。Lynn Mann 名義で Paul Johnson Singers を初め、各種のクリスチャン・ミュージックのアルバムに参加しています。
その他、アルトとして、Joann Albert といった方がクレジットされています。
<テナー Tenor Vocals>
Ron Hicklin
西海岸のスタジオ・バックボーカリスト集団の中心的存在で、これまで取り上げてきた、Sally Stevens、 Jackie Ward 等と一緒に活動してきた人です。西海岸のスタジオミュージシャン集団、"The Wrecking Crew"と交流して数多くのセッションに参加。自ら、The Ron Hicklin Singers を率いて、西海岸のスタジオ・セッションのみならず、映画のサウンドトラック、テレビの仕事、そしてCMのジングルなどあらゆる方面で活躍しました。
詳細は以下を。
Magic Voicesシリーズ / Ron Hicklin Part 1
Magic Voicesシリーズ / Ron Hicklin Part 2
Stan Farber
Ron Hicklin が在籍していた Doo-Wop グループ、The Eligibles のメンバーで、その後も Ron Hicklin と行動を共にしてきました。Barbra Streisand『Wet』、日本国内では竹内まりや『Miss M』『ラヴ・ソングス』にクレジットされています。
Jerry Whitman
映画『失われた地平線』 (Lost Horizon、1973) で、主人公のピーター・フィンチ (Peter Finch) の声アテをしました。これがきっかけとなって、先に登場した Diana Lee と結婚しました。Carpenters『Horizon』、Paul Williams が音楽を手がけた映画『ダウンタウン物語』 (Bugsy Malone) 等にクレジットされています。
Jim Haas
売れっ子セッションボーカリストで、Jackson Browne、Barry Manilow、Paul Williams、Alan O'Day 等のアルバムに参加。日本国内では竹内まりや『Miss M』に参加。1978年、日本国内でサントリーの洋酒コマーシャルで流れていたディスコ曲 "Love Is V.S.O.P. American" のグループ名は Disco J.J.S.となっており、その実体は J ---> John Joyce、J ---> Jim Haas、
S ---> Shelby Flint の3名でした。
Kerry Chater
Kerry Chater がカナダ出身。Gary Puckett & The Union Gap のベーシストだった人です。後年はナッシュビルで活動をしていました。
Mike Redman
Paul Johnson Singers など Paul Johnson のプロジェクトの常連。日本国内では竹内まりや『 ラヴ・ソングス』にクレジットされています。
その他、テナーとして、Joann Albert、Ron Harris といった方がクレジットされています。
<バリトン Baritone Vocal>
Paul Johnson
本アルバムの全体アレンジ、コーラスアレンジ、コンダクトを担当。バリトンとしても参加。クリスチャン・ミュージック界隈で Paul Johnson sinngers 名義で秀でた作品を多くリリースいsました。
Gene Merlino
かつて The Mellomen、The Anita Kerr Singers、The Johnny Mann Singers に在籍。Henry Mancini にも重用されていたようです。サックス、クラリネット奏者でもあります。Carpenters『Horizon』、日本国内では竹内まりや『ラヴ・ソングス』にクレジットがあります。
Gene Morford
この人も Ron Hicklin と行動を共にしてきたベテラン。Ralph Carmichael のコーラスワーク初め、多くのコーラスグループに参加しています。
Jon Joyce
Jon Joyce もスタジオコーラスワークのベテラン。チェロ奏者でもあります。先に登場した Disco J.J.S. の1人。Barry Mann『Survivor』、David Cassidy『When I'm A Rock'n Roll Star』、
Barbra Streisand『Wet』、本国内では竹内まりや『Miss M』にクレジットがあります。
Mitch Gordon
かつて The Anita Kerr Singers、The Bob Alcivar Singers、The Love Generation に在籍。Carpenters『Horizon』、Captain & Tennille『Make Your Move』にクレジットがあります。
Dick Bolks
Paul Johnson のプロジェクトの常連。Carpenters『Voice Of The Heart』などにクレジットがあります。
その他、バリトンとして、Errol Horne、Gordon Harknessといった方がクレジットされています。
<バス Bass Vocal>
Dave Parlato
ジャズのコントラバス (ダブルベース) 奏者でもあります。Howdy Moon『Howdy Moon』、日本国内では太田裕美『海が泣いている』でクレジットが見つかります。
Bob Tebow
1965年から1970年まで The Anita Kerr Singers に在籍。その後、The Ray Conniff Singers にも加入。Henry Mancini も重用されていたようです。
Thurl Ravenscroft
ディズニー作品、アニメーション作品の声優、シンガーだった人で、多くのCMでもその声は聴かれていたようです。
Steve Sweetland
The Mellomen、The Sportsmen に在籍。1960年代は The Doodletown Pipers のメンバーとしてテレビに度々出演。Henry Mancini 作品でも歌っているようです。
その他、バスとして、Bill Brown といった方がクレジットされています。

(富田英伸)