Roger Nichols : 1960年代後半に生み出された作品等
2025.05.24

Songwriterシリーズ、
今回は Roger Nichols を取り上げたいと思います。
数回に分けて書いていきます。
今回、Roger Nichol をSongwriterシリーズで取り上げるにあたって、代表曲以外に聴く機会の少ない楽曲の情報も織り込みながら書き進めていきたいと考えています。
第1回 : 1960年代後半に生み出された作品等
Roger Nichols は1940年、モンタナ州ミズーラ生まれ。音楽家の一家に生まれ、兄の Ted Nichols も後にアニメーションスタジオ Hanna-Barbera Cartoons で音楽ディレクターの職に就いています。
Roger Nichols の名前がシングル盤のクレジットに見かけるようになるのが1967年頃、The Sunshine Company、Herb Alpert & The Tijuana Brass、The Collage といったグループに楽曲提供しています。この頃、チームで詩を書いていたのが Beach Boys のアルバム『Pet Sounds』に詩を書いた Tony Asher でした。
1968年にこれまで作っていた楽曲等を含め、Roger Nichols リーダとした Roger Nichols & The Small Circle Of Friends を結成、アルバム『Roger Nichols & The Small Circle Of Friends』が AM Records からリリースされました。
今回は 1960年代後半の作品を聴いていきたいと思います。
Always You (Roger Nichols-Tony Asher) / The Sundowners (1967)
1967年、Decca Records からリリースされた楽曲。プロデュースは Bones Howe。アレンジを手掛けたのはジャズ畑のサックス奏者、作曲家の Bill Holman。曲も素晴らしいですが、この溜めの効いたアレンジも素晴らしいです。The Sundowners のメンバー数人は、後に Monkees のバックメンバーとなっていきます。
Poto Flavus (Roger Nichols) / John Andrews Tartaglia (1968)
1968年、アレンジャー、コンポーザーの John Andrews Tartaglia がリリースしたインスト曲。John Andrews Tartaglia は The Small Circle Of Friends の"The Drifter" や "Trust" のアレンジを担当した経緯があります。日本のサントリーのCMで流れた、"V.S.O.P. American" や Cheryl Ladd の"Where Is Someone To Love Me " ( ダンシング・アメリカン) の作者でもあります。
I Just Haven't Got What It Takes (Roger Nichols-Paul Williams) / Tony Scotti (1968)
アメリカの俳優、のちに映画製作者やレコード会社を設立する Tony Scotti が1968年に Liberty Records からリリースしたシングル。プロデュースとアレンジは Tommy Oliver 。この曲後に "To Put Up with You" と改題されます。途中とコーラスが美しく仕上がっています。
Tony Scotti は後に Scotti Brothers Records を設立し、ここから James Brown らがレコードをリリースします。奥様はフランスの女性シンガー、Sylvie Vartan 。東京音楽祭の審査員として来日した時に恋が芽生えたそうです!
Bitter Honey (Roger Nichols-Paul Williams) / The Holy Mackerel (1968)
後にソングライターチームとなる Paul Williams が所属していた The Holy Mackerel が1968年にシングルリリース。リードシンガーも Paul Williams。A面も Roger Nichols-Paul Williams の "To Put Up With You" でした。プロデュースは Richard Perry。
Just What I’ve Been Looking For (Smokey Roberds-Roger Nichols) / The Vogues (1968)
1968年、The Vogues が Reprise Records からリリースした作品。プロデュースは Dick Glasser、アレンジは Al Capps が担当しました。途中で転調するコーラスが心地よいです。
Trust (Roger Nichols-Paul Williams) / Two Of Each (1969)
イギリスにおいてもRoger Nichols の楽曲に注目していたミュージシャン達がいたようです。
イギリスの Two Of Each というグループが "Trust" を取り上げています。プロデュースは Tony Hatch の奥様、Jackie Trent です。クレジットはありませんが、アレンジは Tony Hatch だと思われます。Tony Hatch-Jackie Trent はかつて自分達のアルバムでも The Small Circle Of Friends の "Love So Fine" を取り上げています。
(富田英伸)