2022.07.25
Summer Hibernation Summer Hibernation
Plastic Plastic

Anything Goes (2019)



 初めに、私とタイのポップ・ミュージックとの出会いについて少し書き留めておきます。よく言われることですが、以前では考えられなかった欧米以外のポップ・ミュージックの情報が SNS、特に動画投稿サイト YouTube から得ることができることになりました。
 そこから、日本のシティ・ポップやアメリカのソウル・ミュージック他の影響を感じる女性歌手の Numcha、'60年代のアメリカのオールディーズ他のテイストをそのサウンドから感じられる3人組のバンドの The Kopycat、そしてギター・ポップやシューゲイザー等の影響を感じながらも女性リード・ヴォーカルが光る8月に来日するバンドの YONLAPA 等のタイのポップ・ミュージックが浅いながらも私に近い存在になりました。
 その中で、最近、私が出会って「はまって」しまったのが、兄妹デュオ・ユニット(兄の Pokpong Jitdee と妹の Tongta Jitdee)の Plastic Plastic の二人です。
 彼らとは、SNS で Numcha の出演するライブ・イベントで名前を知り、彼らの最新配信シングルの "Pillow Pillow"(これもいい曲)のMVで音楽と出会いました。前述したバンドの The Kopycat の女性ヴォーカルがバック・コーラスに参加していることから、余計に興味が湧き、YouTube を通して彼らの今までリリースした曲やライブ映像などを耳にしました。タイのポップ・ミュージックに詳しい方の解説から、2012年頃から音楽活動(2010年のライブ映像がある)をしていて、洋楽カバー他を YouTube に上げていました。打ち込みを中心にしたサウンド、「宅録ユニット」とも解説されています。
 今回、取り上げる "Summer Hibernation" は、2019年にリリースされた彼らの2枚目のアルバム『Anything Goes』のリード・トラックとも言える曲です。
 打ち込みのサウンド、エレピのきざむビートからはじまるミディアム・テンポの曲。「夏の冬眠」とでも訳せばいいのでしょうか。タイ語の歌詞と少ない英語の歌詞で歌われていて、歌詞の詳細は残念ながら、分かりません。打ち込みのベースのリズムにのり、耳にすぐ馴染むようなメロディー、そして彼らの他の歌にも共通するバカラック他のアメリカのポップスのテイストを彼らなりに消化したサウンド、そして兄妹の妹の Tongta さんの魅力的な歌声が歌に輝きを与えています。青春とか、若い季節のきらめき、切ない時間に戻してくれる甘酸っぱい音楽というとおかしいでしょうか。
 2019年、このアルバムの日本でのリリースの際(1枚目のアルバムも同時リリース)、来日して小さな会場でライブが行われました(その映像も SNS に残っています)。彼らのいくつかのライブ映像が YouTube にアップされていてファンとしてはうれしいのですが、やはり、実際に生で彼らのライブを見たいですね。


(伊東 潔)

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