2021.04.16 - Songwriter
Alone Alone
Morty Craft

(1957)

(『ON THE STREET CORNER』(1980)、で取り上げられた "Alone" 、この曲について紐解いてみましょう〜)

Songwriterシリーズ
今回は Morty Craft という人を取り上げたいと思います。

Morty Craft は1950年代中期、Doo Wop、ロックンロール、黎明期のティーンズポップスなどの分野のレコーディングに深く関わって、ソングライター、プロデューサーとして当時、若者向けの新しい音楽の時代を築いていった人で、ニューヨークの音楽プロデューサー、Bob Crewe の師匠筋に当たる人です。

また Morty Craft は1957年にチャーミングで可愛らしい曲、"Alone" を奥様の Selma Craft と一緒に作った人です。今回はこの曲の聴き比べから始めたいと思います。

1957年、Morty Craft は Lance Records を立ち上げ、オハイオ州出身の4人姉妹グループ、The Shepherd Sisters に "Alone (Why Must I Be Alone)" を書きました。当時、テレビ番組で The Shepherd Sisters が歌った映像が残っています。4人、明るく楽しく歌っています。

Alone (Why Must I Be Alone)(Morty Craft-Selma Craft) / The Shepherd Sisters(1957)

Alone (Why Must I Be Alone)(Morty Craft-Selma Craft) / The Shepherd Sisters(TV-1957)


1957年、The Shepherd Sisters が歌った "Alone (Why Must I Be Alone)" はその年の冬、US Billboard Chart の18位とヒットとなり、それを受けイギリスでは Petula Clark が取り上げました。まだ Tony Hatch が手掛ける以前にリリースされた作品で、レコーディングでは The Kim Drake Orchestra をバックに歌いました。コーラスは The Beryl Stott Group というコーラスグループです。 Petula Clark のバージョンは UK Singles Chart の8位となり、イギリスでも人気曲となります。これも当時の映像が残っています。

Alone (Why Must I Be Alone)(Morty Craft-Selma Craft) / Petula Clark(TV-1958)


イギリスではオリジナルの The Shepherd Sisters のバージョンも UK Singles Chart でも14位、 The Southlanders というジャマイカ系イギリス男声グループも歌い、このバージョンも17位となります。この人気を受けて、イタリアでは 女性シンガー Dalida が歌いました。この屈託のない明るい曲はどこの国でも人気だったようです。

Je pars(Alone)(Why Must I Be Alone)(Morty Craft-Fernand Bonifay) / Dalida(TV-1958)


1950年代後期、この "Alone (Why Must I Be Alone)" は上記以外に Eve Lombard、The Brother Sisters など多くのシンガー達がレコーディングしました。1964年に The Four Seasons がこの曲を取り上げます。Frankie Valli のユニークなファルセット、口笛でこの曲をより楽しいものにしました。プロデュースはこの項の後半に登場する Bob Crewe です。

Alone (Why Must I Be Alone)(Morty Craft-Selma Craft) / Four Seasons(1964)




Morty Craft は1920年、マサチューセッツ州ブロックトン生まれ。若い頃はビッグバンドで、サックスとクラリネットを演奏していたようです。後にアレンジャーとなり、ニューヨーク拠点で本格的な音楽活動を始めます。

1953年には Bruce Records を立ち上げ、The Harp-Tones が歌った "A Sunday Kind Of Love" をプロデュースしています。1956年には Melba Records を立ち上げます。そこでレーベル第1弾シングルが Shepherd Sisters の "Gone With The Wind C/W Rock 'N Roll Cha, Cha, Cha" でした。2弾シングルが、Doo Wop グループ、The Willows の "Church Bells May Ring " でした。この曲は The Willows のメンバーと Morty Craft が共作したナンバーです。U.S. R&B chart の11位とヒット。後にこの曲は The Diamonds、The Cadets、そして、The Four Seasons などが歌い継ぎます。

1958年に MGM Records で、まだ新人だった Connie Francis のデビューアルバム『 Who's Sorry Now』をプロデューサーとして手掛け、Connie Francis をスターダムにのし上げました。Morty Craft 自身も Morty Craft And His Orchestra を結成し、MGM Records からレコードをリリースしています。

1959年には新たなレコード会社、Warwick Records を設立。ここから Johnny And The Hurricanes、The Harptones がレコードをリリースするようになります。1960年にはシンガーだった Bob Crewe が Warwick Records からデビューアルバム『Kicks 』、セカンドアルバム『Crazy In The Heart』を Warwick Records からリリース。同年にリリースしたシングル "Ev'rytime" は Morty Craft、Selma Craft 夫妻が書いた曲でした。Bob Crewe は Warwick Records のオーナーの Morty Craft の仕事振りを習得して、自身もプロデューサーの道に進んでいくことになります。

1964年に "Alone (Why Must I Be Alone)" を Four Seasons が取り上げたのは、Bob Crewe の頭の中に Morty Craft の記憶があったからかも知れません。

Morty Craft が "Alone (Why Must I Be Alone)" 以外に書いた曲を聴いていきたいと思います。


Rock 'N Roll Cha Cha Cha(Mayme Watts-Morty Craft) / Shepherd Sisters(1956)

Morty Craft が1956年に設立した Melba Records からリリースした第1弾シングルのB面曲。当時、新しい音楽スタイルだったロックンロールとチャチャのリズムをクロスオーバーさせたような曲。Morty Craft の書く曲は、シンプルですが、明るく楽しいです。サックスの音色が素晴らしい!


A Boy And A Girl(Howard Greenfield-Morty Craft-Selma Craft) / The Shepherd Sisters(1958)

1957年の "Alone (Why Must I Be Alone)" のヒットにより、The Shepherd Sisters がメジャーの Mercury Records からリリースした作品。詩を Neil Sedaka とのチームで知られる Howard Greenfield が書いています。作詞家、Howard Greenfield としても駆け出しの頃の作品です。ティーンズポップスが芽生えてきた頃の作品。"Alone (Why Must I Be Alone)" のような朗らかな曲です。


Church Bells May Ring(The Willows-Morty Craft) / The Willows(1956)

1952年にニューヨークで結成された Doo Wop グループ The Willows が1956年にリリースしたシングル。Melba Records からリリースした第2弾シングルでした。曲は The Willows のメンバーと Morty Craft が共作しました。U.S. R&B chart の11位とヒット。後にこの曲は The Diamonds、The Cadets、そして、The Four Seasons などに取り上げられ、人気曲となります。この The Willows のバージョンのチャイムを鳴らしているのは Neil Sedaka だったと伝えられています。


Everytime(Eleanor Craft-Morty Craft) / Bob Crewe(1960)

1960年、Morty Craft が設立した Warwick Records から、シンガー時代の Bob Crewe がリリースしたシングル。曲は Craft 夫妻が書きました。後に大物プロデューサーとして名を馳せる Bob Crewe ですが、この頃に Morty Craft のレコード会社運営を研究したのではないかと想像できます。


Number One With Me(Morty Craft-Eleanor Jakubeck) / The Crests(1962)

Morty Craft は1956年辺りに奥様の名前を冠した Selma Records を設立しています。"16 Candles" のヒットを持つ Doo Wop グループ The Crests が1962年にリリースしたシングル。Morty Craft と共作している Eleanor Jakubeck とは奥様のことで Selma Craft の本名です。アレンジは The Happenings や Laura Nyro などを手掛けた Herb Bernstein。ラテン調のリズムがとっても心地よいです!


Wonderin'(Morty Craft-Selma Craft) / Morty Craft and His Orchestra(1958)

最後に Morty Craft 自身がリリースした作品を。1958年に MGM Records からリリースされた Morty Craft And His Orchestra のアルバム『Jazz In Black Tie』から。Craft 夫妻が書いた曲で、スマートでオシャレなナンバーです。



Morty Craftさんは2020年8月にめでたく100才になられ、お元気のようです!
100th Birthday Of Music Industry Pioneer Morty Craft


*写真 : The Shepherd Sisters





(富田英伸)

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