2020.09.29 - Songwriter
My Mind Keeps Telling Me My Mind Keeps Telling Me
Ronnie Baker

(1972)

(2020年9月27日SSB「棚からひとつかみ+リクエスト」で、 Eddie Holman "My Mind Keeps Telling Me" がかかったので)

Songwriterシリーズ
フィラデルフィア周辺で活躍した Ronnie Baker そして、彼が所属した Baker-Harris-Young Productions について取り上げます。

Ronnie Baker はベーシストで、1960年代後半から、ベーシスト、アレンジャー、コンポーザーとして多くのフィラデルフィア・サウンドを支えた人です。今回はRonnie Baker と共に活動したギターリストの Norman Harris、ドラマーの Earl Young についても触れていきたいと思います。

まず、ドラムスの Earl Young から話を始めたいと思います。
Earl Young は3人の中ではキャリアが最も長く、1964年にStanley Wade、 Harold Wade という2人の兄弟中心に結成した The Volcanos というグループに所属して活動していました。ボーカルバス担当だった Earl Young はドラムス演奏にも長けていため、スタジオミュージシャンとしてフィラデルフィアのスタジオ録音に呼ばれるようになります。

特に大きな転機となったのは、1968年辺りの The Delfonics などの Philly Groove Records でのセッション。Earl Young はアレンジャーの Thom Bell に呼ばれてレコーディングに参加。そこで、ギターリストの Norman Harris、そして、ベーシストの Ronnie Baker と度々顔を合わせるようになります。Norman Harris はボーカリストの Major Harris のいとこでもありました。Thom Bell を介して、Gamble and Huff の制作作品にも参加するようになり、1970年の Dusty Springfield ‎のフィラデルフィア録音アルバム『A Brand New Me』でもこの3人がリズムセクションを担当します。

Thom Bell プロデュースの The Stylistics の一連の作品のリズムセクションもこの3人が担当。Gamble and Huff が1971年にPhiladelphia International Records を設立後もそこで数多くのリズムセクションを担当します。Gamble and Huff 、そして、Thom Bell の3人、いわゆる、Mighty Three の信頼はとても大きいものでした。ここで3人が、 Ronnie, Norman and Earl 名義で1970年にリリースしたインストナンバーを聴いてみたいと思います。

Soul At Sunrise(Earl Young-Norman Harris-Ron Baker) / Ronnie, Norman & Earl(1970)

その後、Earl Young 、Norman Harris、Ronnie Baker の3人は意気投合、自身のプロダクション、 Baker-Harris-Young Productions(B-H-Y Productions) を立ち上げます。Gamble and Huff や Thom Bell のプロダクションと並行して、自分達でプロデュース活動を行っていくようになります。B-H-Y Productions が手掛けた代表的なミュージシャングループとしては、First Choice、 Blue Magic、The Whispers、Eddie Holman、Loleatta Holloway Vince Montana 率いる Salsoul Orchestra などがありました。そこで Norman Harris、Ronnie Baker はプロデュース、アレンジ以外に多くの楽曲もを提供していきます。

かつて、Earl Young が在籍した The Volcanos は1970年代に The Trammps とグループ名を変え、B-H-Y Production でアルバムが制作されることになります。The Trammps は次々のヒットをリリースし、3人がプロデュースしたミュージシャングループの中で最も成功を収めました。

ギターリスト Norman Harris はアレンジャー、そしてコンポーザーとして多くの楽曲を書きましたが、今回は Ronnie Baker に焦点を当て、彼が作曲に参加、もしくは単独クレジット作品を聴いていきたいと思います。Ronnie Baker は1990年に死去。

Norman Harris が作曲に関わった作品はまた別の機会に。


I Know That Feeling(Ronald Baker) / The Trammps(1973)

Where Do We Go From Here(Ronald Baker) / The Trammps(Extended Version 1974)

Stop And Think(Ronald Baker) / The Trammps(1973)

前述通り、ボーカルグループだった The Volcanos は1972年になって、The Trammps と名を変え、ボーカル&インストルメンタル・グループとなり、メンバーが増えていきます。そのキーボードには後にプロデューサー、アレンジャーとして活躍する Ron Kersey、サックス奏者には同じく、フィラデルフィア界隈でアレンジャーとして活躍する John Davis も在籍していました。The Trammps のメンバーとして、Norman Harris(ギター)、Ronnie Baker(ベース)、Earl Young(ドラムス)の3人はメンバーとしてもクレジットされています。キーボード奏者の Ron Kersey はその後、プロデューサーとして The Trammps を率いて、1976年のシングル "Disco Inferno" の大ヒットに導きます。今回の3曲、Ronnie Baker の単独クレジットで、アレンジも Ronnie Baker が担当しています。


Will You Be Mine(Norman Harris-Ronald Baker) / The Whispers(1974)

Once More with Feeling(Ronald Baker) / The Whispers(1974)

The Whispers は1964年、西海岸で結成されたボーカルグループ。B-H-Y Production は The Whispers の1974年のアルバム『Bingo』、1976年のアルバム『One For The Money』を手掛けます。その中から Ronnie Baker が作曲に関わった2曲を。"Will You Be Mine" は Norman Harris との共作曲。"Once More with Feeling" は Ronnie Baker の単独クレジットです。いずれも Ronnie Baker がアレンジを担当。2曲ともミドルテンポの心地よいメロディをしています。


My Mind Keeps Telling Me(Ronald Baker) / Eddie Holman(1972)

I've Been Singing Love Songs(Ron Baker) / Eddie Holman(1977)

ファルセットシンガーで有名な Eddie Holman。かつて Eddie Holman は Earl Young が在籍していた The Volcanos に楽曲を提供したことがありました。
1972年に Ronnie Baker が曲を書いたシングル "My Mind Keeps Telling Me" をリリース。
1977年に Salsoul Records からリリースしたアルバム『A Night To Remember』は、 Baker-Harris-Young Productions で制作され、その3人とThe Trammps のメンバーだった Ron Kersey が中心となって制作されたアルバムでした。

*写真、左から Earl Young、Ronnie Baker、Norman Harris

(富田英伸)

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