2020.05.04
Cinema Music Composers シリーズ、
今回は Burton Lane を取り上げます。
Burton Lane はミュージカル映画の黎明期から活躍した作曲家です。2回に分けて取り上げていきます。
Burton Lane の経歴や初期の時代の楽曲は2回目に回して、今回は Burton Lane が音楽を手掛けた2つのミュージカル『フィニアンの虹』と『晴れた日に永遠が見える』を中心に聴いていきたいと思います。
1947年、Burton Lane はブロードウェイ・ミュージカル『フィニアンの虹』(FINIAN'S RAINBOW)の音楽を手掛けます。本作は E.Y. Harburg による原作で、内容も人種問題も孕んだ社会性のあるミュージカルでした。そのミュージカルから楽曲、"Look to the Rainbow"、"Old Devil Moon"、"How Are Things in Glocca Morra" が生まれ、これも多くのシンガーに歌い継がれていくことになります。本ミュージカルは1968年に映画化、フランシス・フォード・コッポラ(Francis Ford Coppola)がこの作品で監督メジャーデビューしました。出演したのはイギリスのシンガー、Petula Clark とこれが最後のミュージカル映画出演となったフレッド・アステア(Fred Astaire)でした。
1965年、Alan Jay Lerner の原作のミュージカル『ON A CLEAR DAY YOU CAN SEE FOREVER』の音楽を手掛けます。1970年にヴィンセント・ミネリ(Vincente Minnelli)監督により、『晴れた日に永遠が見える』として映画化。バーブラ・ストライサンド(Barbra Streisand)、イヴ・モンタン(Yves Montand)が出演しました。
今回はこの2つのミュージカルから生まれた楽曲を聴いていきたいと思います。
Look To The Rainbow(Burton Lane-E.Y. Harburg) From "FINIAN'S RAINBOW" / Petula Clark(1968)
Look To The Rainbow(Burton Lane-E.Y. Harburg) / Astrud Gilberto(1966)
1968年公開の映画『フィニアンの虹』から。"Look To The Rainbow" が流れる映画のタイトルバックを。広角、俯瞰で撮られたアメリカの風景が素晴らしいです。こうやってアメリカ中を旅した父娘は最後に舞台のレインボー・バレーにたどり着きます。歌っているのは、主演のPetula Clark。
1966年の Astrud Gilberto のアルバム『Look To The Rainbow』から表題曲も合わせて。アレンジは Gil Evans が担当しました。これを先に聴いたんですがその時、この曲が好きになりました。
Old Devil Moon(Burton Lane-E.Y. Harburg) From "FINIAN'S RAINBOW" / Petula Clark and Don Francks(1968)
Old Devil Moon(Burton Lane-E.Y. Harburg) / Chet Baker(1958)
同じく映画『フィニアンの虹』から、艶めかしい月明かりの下、ロマンチックなこのシーンを。このシーンはスタジオセットで撮影されましたが、緑の発色が良くて雰囲気がとってもいいです。
1958年の Chet Baker のボーカルアルバム『It Could Happen To You』からのバージョンも合わせて。Chet Baker のボーカルも艶めかしく、とってもいい感じ。
How Are Things In Glocca Morra(Burton Lane-E.Y. Harburg) / Julie Andrews(1961)
続いて、ミュージカル『フィニアンの虹』から生まれた曲を。1961年のジュリー・アンドリュース(Julie Andrews)のアルバム『Broadway's Fair Julie』から。演奏は
Henri René And His Orchestra。ジュリー・アンドリュースの透明感のある声がとても素晴らしいです。
When I'm Not Near The Boy I Love(Burton Lane-E.Y. Harburg) / Doris Day(1960)
もう1曲、ミュージカル『フィニアンの虹』から生まれた曲を。1960年の Doris Day のアルバム『Show Timeds』から。コンダクトは Axel Stordahl が担当。ワルツ調の素敵な曲です。オリジナルの舞台の方は "When I'm Not Near The Girl I Love" となっていて、少年が少女のことを想う歌でした。
On a Clear Day You Can See Forever(Burton Lane-Alan Jay Lerner) From "ON A CLEAR DAY YOU CAN SEE FOREVER" / Barbra Streisand(1970)
1970年公開の映画『晴れた日に永遠が見える』のラストシーンです。原作者でもある Alan Jay Lerner の詩もとってもいいです。何度聴いても胸いっぱいになる歌です。Barbra Streisand が自信たっぷりに歌い上げます。
晴れた日
空を見上げあたりを見渡すと
自分がどんな人間かって
気が付くはず
晴れた日に
心が震えるほど実感するわ
他の光るどの星よりも
あなたという存在は強く輝いているんだってことを
山や海、そして浜辺もみんなあなたの一部
そう感じられたなら
今まで聴いたことのない自然の美しい音色が
あちらこちらから聴こえてくるはずよ
そして晴れた日に
そのある晴れた日に
あなたは理解することができる
永遠に続く幸せがあることを...
(日本語訳:東エミ)
Where Have I Seen Your Face Before(Burton Lane-E.Y. Harburg) / Burton Lane
最後に Burton Lane 自身のピアノと歌で締めくくりたいと思います。ミュージカル黎明期から長年に渡って素晴らしい楽曲を作り続けた Burton Lane に賞賛の拍手が鳴りやみません。
* 写真は Alan Jay Lerner(左)、 Burton Lane(右)
(富田英伸)