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2019.01.08
South American Getaway

South American Getaway

Sally Stevens

(1969)

#Magic Voice

【イントロダクション】
シリーズ「Magic Voices」について


映画『めぐり逢い』。
多くの方が観た映画だと思います。

『邂逅』 (原題:Love Affair、1939年) 、そして『めぐり逢い』 (原題:An Affair to Remember、1957年) 、『めぐり逢い』 (原題:Love Affair、1994年) と過去3回、映画化されています。有名なラブストーリーですが、いずれも時代の作品を観てもそのストーリー展開にいつも泣いてしまうんですよね (笑顔) 。

男性は恋多き富豪。女性はスタジオでCMなどを歌っている名もなきコーラスガール。旅の途中、2人は出会います。途中、女性は災難に会いますが、徐々に歌うことで癒されていきます。表舞台に立つことなく歌うその素敵な女性に強く惹かれました。

華やかなスポットライトを浴びて歌うスター歌手でなく、ターンテーブルのレコードから聴こえてくる彼女たちの慎ましい歌声。どんな人なんだろう、女性なんだろう。僕は興味を持ちました。

この新たなMagic Voicesシリーズは、ソロシンガーとしては表立って活躍をしてこなかったそんなシンガー、バックコーラス達を取り上げていきたいと思います。言わば、circustown.net 版『バックコーラスの歌姫 (ディーバ) たち』です。




Magic Voicesシリーズの第1弾として、The Singers Unlimited の Bonnie Herman を取り上げました。
今回、 Magic Voicesシリーズの第2弾は Sally Stevens という女性を取り上げていきたいと思います。


Sally Stevens は1960年代後期から活躍したアメリカ西海岸のスタジオやハリウッド製映画の音楽等などで活躍してきたボーカリスト、セッションシンガー、作詞家です。その多くはソプラノを担当しました。Sally Stevens のソプラノ・ボイスの印象はハスキーでとても艶っぽく、大人な雰囲気を醸し出します。

Sally Stevens はミュージシャンの一家に生まれ、両親は映画音楽に携わっていたようで、幼い頃からハリウッドの録音スタジオに遊びに行っていたようです。
彼女は1961年頃、ラスベガスのプロダクション歌手として働き、その後ロサンゼルスでのレコーディングとコマーシャル、テレビショーの仕事を開始。UCLAの学生中に Herb Alpert と Jerry Moss が設立した A&M Records のスタジオに出入りするようになったようです。また在学中には Ray Conniff And The Singers に加入し、ツアーに参加。また Nat King Cole のバックでもシンガー兼ダンサーとして出演したとのこと。

その後はセッション・シンガーとして西海岸で制作された多くのレコーディングに参加しています。クレジットに確認できたものを挙げると、David Cassidy『Rock Me Baby』 (1972) Art Garfunkel『Angel Clare』 (1973) 、The Bob Crewe Generation『Street Talk』 (1976) 、Burt Bacharach『Futures』 (1977) 、『Grease』 (The Original Soundtrack From The Motion Picture) (1978) 等々。
グループ参加としては前述の Ray Conniff And The Singers、The California Dreamers、The Ron Hicklin Singers などがあります。

現在も現役で、特に映画音楽家の厚い信頼を得てハリウッド制作の音楽のコーラス・パートにおいて指導的立場として活躍しています。

今回は Sally Stevens (ソプラノ担当) を特徴づける作品を中心に聴いていきたいと思います。


South American Getaway (Burt Bacharach) / Burt Bacharach (1969)

映画『明日に向って撃て!』 (原題:BUTCH CASSIDY AND THE SUNDANCE KID、1969) から印象的な、2人が南米ボリビアへと旅立つシーンで使われたスキャット。途中のソプラノ・ソロ・パートを聴いて、Sally Stevens の美声にノックアウトされました〜。
スキャット・パートのメンバーは以下の通り。
Sally Stevens (ソプラノ)
Jackie Ward (Robin Ward) (アルト)
John Bahler (テナー1)
Ron Hicklin (テナー2)
Gene Morford (バス)


I'll Tell The World / Paul Johnson Singers (1974)

クリスチャン・ミュージック (Contemporary Christian Music = CCM) 界隈で活動していた、Paul Johnson のユニットから。
ボーカリストには西海岸で活躍しているスタジオ・セッション・シンガーが多く参加しています。Sally Stevens の他、Sue Allen、Jackie Ward (Robin Ward) 、John Bahler、Ron Hicklin、Stan Farber、Tom Bahler といった面々。


On Any Sunday (Dominic Frontiere-Sally Stevens) / Dominic Frontiere Ochestra & Chorus (1971)

On Any Sunday Ending (Dominic Frontiere-Sally Stevens) / Sally Stevens (1971)

快活な曲を。ドキュメンタリー映画『栄光のライダー』 (ON ANY SUNDAY、1971) の主題歌。未見ですが、スティーヴ・マックィーン (Steve McQueen) も出演していたようです。この曲はSally Stevens が作詞を担当しています。


That night (Lalo Schifrin) / Sally Stevens (1967)

続いて Sally Stevens のソロ作品を2曲程。映画主題歌。映画『女狐』 (原題:THE FOX) の主題歌。音楽は Lalo Schifrin。色気のある歌唱です。後にイギリスでは Scott Walker もこの曲を取り上げました。


Ask Yourself Why La Piscine (Michel Legrand) / Sally Stevens (1969)

これも Sally Stevens のソロ作品で映画『太陽が知っている』 (原題:LA PISCINE、1968) から。アラン・ドロン (Alain Delon) 、ロミー・シュナイダー (Romy Schneider) が出演。音楽は Michel Legrand が担当しました。


Burt Bacharach in Canada 1977

1970年代は、関係が深かった Burt Bacharach のライブツアーに多く参加しています。今回は1977年のカナダでの様子です。
Sally Stevens が歌うシーンは以下です。
47分中29分頃、"No One Remembers My Name" (センター:Sally Stevens )
47分中32分頃、"Charlie" (Sally Stevens によるソロ)


(富田英伸)