2016.05.23 - Songwriter
Lovin' Things Lovin' Things
Artie Schroeck & Linda November [Songwriter]

(1968)

(僕にも "ライブ・ロス" が襲ってきました〜)
Songwriter シリーズ、今回は Artie Schroeck を取り上げたいと思います。
後半では Artie Schroeck の奥さん、Linda November についても触れたいと思います。
Artie Schroeck はソングライターというよりも、Bob Crewe のプロダクション、Four Seasons 周辺で活躍した "アレンジャー" として名が通っている人です。最もアレンジャーとして代表的な楽曲は、作曲者 Bob Gaudio と共同で行った邦題『君の瞳に恋してる』で知られる、Frankie Valli "Can't Take My Eyes Off You" です。
Four Seasons の楽曲の中でも、ちょっとしっとりした雰囲気がある曲は Charlie Calello ではなく、Artie Schroeck が起用される場合が多いですね。Artie Schroeck が "アレンジャー" として参加した代表的なこの2曲を聴いてみたいと思います。
特に "Can't Take My Eyes Off You" のサビにいく前のブラスによる盛り上げは何度聴いてもシビレますね。("ライブ" でもみんなそうだったと思います(笑顔)。)

Can't Take My Eyes Off You (B. Crewe-B. Gaudio) / Frankie Valli (1967)

I've Got You Under My Skin (C. Porter) / The Four Seasons (1966)


ここからはソングライターとしての Artie Schroeck について。

Artie Schroeck は1938年、ニュージャージー生まれ。元々はジャズのセッションマンとしてそのキャリアを出発したとのこと。その後ニューヨークのスタジオでアレンジャー中心に活動しています。 Artie Schroeck の特長はポップス、ポピュラー音楽以外にも、ジャズ寄りの音楽も手掛けているところ。
Artie Schroeck が "アレンジャー" として参加したミュージシャンを挙げてみると、The Four Seasons、 Frankie Valli を代表に、The Cowsills、Neil Diamond、The Lovin' Spoonful、 Engelbert Humperdinck 、Barry Manilow、Kenny Rankin そして、Frank Sinatra、Liza Minnelli、Jackie & Roy 辺りまで手掛けています。
アレンジャーの仕事の傍ら、Jet Loring という人と組んでソングライティングもやっています。
Artie Schroeck がソングライティングした曲の中から僕の好きな曲を聴いてみたいと思います。

A Time For Us (Artie Schroeck-Jet Loring) / Suzy Wallis (1966)

1966年 Suzy Wallis という女性が歌った曲。憂いのあるいい曲です。プロデュースとアレンジを担当したのは Dave Gates。ちなみにこのシングルのA面は Dave Gates 作曲による "Tell Him" というナンバー。


The Right Direction (Artie Schroeck-Jet Loring) / Clara Ward (1966)

1966年リリース。ソウル寄りのナンバーです。アレンジを担当したのは Charles Calello。こういう曲も書くんですね。


The Puppet Song (Artie Schroeck-Jet Loring) / The Four Seasons (1967)

The Four Seasons では主にアレンジャーとして参加していましたが、これは楽曲提供したナンバー。アレンジも Artie Schroeck が担当しています。特にストリングス・アレンジがとても素晴らしいです。


Stop and Say Hello (Artie Schroeck) / Frankie Valli (1968)

Frankie Valliのセカンド・ソロアルバム『Timeless』に収録されていた曲。
Artie Schroeck が作った曲で一番好きな曲です。スケールが大きい曲です。アレンジは Charles Calello に任せた形になっています。
実はこの曲を同年1968年に Little Joe という人がアルバム『Little Joe Sure Can Sing!』で取り上げています。 この Little Joe とは、現俳優として活躍しているジョー・ペシ(Joe Pesci)のこと。
映画『ジャージー・ボーイズ』(2014年)では、メンバーに Bob Gaudio を引き合わせたのがこのジョー・ペシとなっていました。このシーンはびっくり!、笑ってしまいました〜(笑顔)


Lovin' Things (Artie Schroeck-Jet Loring) / Marmalade (1968)

Artie Schroeck が書いた曲で一番有名で人気曲。スピード感溢れる気持ちいい曲です。イギリスではこの Marmalade がリリースしましたが、アメリカでは The Grass Roots が取り上げました。この曲、イギリスの Tony Hatch も気に入ったようで、Jackie Trent & Tony Hatch や Petula Clark の歌唱で取り上げています。



ここからは Artie Schroeck の奥さん、Linda November さんのことを。
アメリカに住んでいる人で Linda November の "声" を聴いたことのない人はまずいないと思います。
Linda November さんはテレビコマーシャルのジングルを22,000曲以上歌った "ジングル・レディ" と言われている人。アメリカの "伊集加代子" さんですね(笑顔)。

Linda November がコーラスとして参加しているレコードもとっても多く、僕もレコード購入する度に "コーラス Linda November" の名前を見つけることが楽しみになっていました。Ray Charles Singers、Jerry Ross Symposium、Brooks Arthur Ensemble 、そして Frankie Valli の一連のソロアルバムなどなど..。

Burt Bacharach が書いた自伝『バート・バカラック自伝 - ザ・ルック・オブ・ラヴ』によると、Burt Bacharach は自分の作品のコーラスに Linda November をそのマネージメントを含めよく起用していたとの記述があります。Burt Bacharach の楽曲で印象的なコーラスはこの人中心だったんですね。

Living Together Growing Together (Burt Bacharach-Hal David)

この You Tube には Linda November さん自身が以下のようにコメントしていました。

"Its me Linda November, Valerie Simpson, Cissy Houston, Luther Vandross"

*写真は左から、Frankie Valli、Linda November、Artie Schroeck。


(富田英伸)




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