2015.06.26 - Star Song Special
星めぐりの歌 星めぐりの歌
初音ミク

ニコ動 (2012)

宮沢賢治の「星めぐりの歌」は賢治の童話の中の歌で、実際に賢治の作曲でもある。出てくるのは『双子の星』、天の星たちが互いにたがいのことを歌い合っているようです。


星めぐりの歌

あかいめだまの さそり
ひろげた鷲の  つばさ
あをいめだまの 小いぬ、
ひかりのへびの とぐろ。

オリオンは高く うたひ
つゆとしもとを おとす、
アンドロメダの くもは
さかなのくちの かたち。

大ぐまのあしを きたに
五つのばした  ところ。
小熊のひたいの うへは
そらのめぐりの めあて。


「星めぐりの歌」は『銀河鉄道の夜』にも登場する。ここではジョバンニとカンパネルラが銀河鉄道で口笛を吹きます。

『双子の星』や『銀河鉄道の夜』は文学ですからそこに歌詞はあっても旋律はありません。しかし賢治は作曲もしていました。賢治自身による楽譜や録音は残されていないのですが、賢治の没後に賢治の友人の藤原嘉藤治が採譜した楽譜が発表されています。その楽譜を元に、賢治の音楽劇が作られたり、あるいは楽曲として繰り返し演奏されるようになりました。なお、藤原は賢治の作品の出版に尽力した人で「セロ弾き」の音楽教員でした。元々賢治の作品で生前に出版されたものは限られており、大半の作品は賢治が書き留めておいて、友人や家族に語って(歌って)聞かせていたようです。その生前の賢治の最大の理解者の一人が藤原嘉藤治であったそうです。『双子の星』は1918年(賢治22歳)、『銀河鉄道の夜』は1924年ごろから1931年(没の2年ほど前)にかけて執筆推敲されつづけました。



今日の1曲


この曲には多くのカバーがあるのですが、初音ミクの演奏がとても良いので取り上げてみました。この演奏は、加賀谷玲のピアノアレンジをもとに、閑古猫さんがミクに歌わせ、それを星風Pさんがプラネタリウム動画に仕上げたものです。


「星めぐりの歌」は賢治と同郷岩手のNHKドラマ『あまちゃん』の挿入曲としても使われています。あまちゃんではトランペットを中心に器楽演奏されるバージョンが時々印象的に使われていました。郷愁をさそう旋律が回想シーンを中心に用いられます。ちょうど今朝も、東京に行くアキが北三陸の海を振り返るシーンで(第71回 ←再放送ですが ^^;)。

(たかはしかつみ)

シェアする facebook twitter
Copyright (c) circustown.net