2012.09.10
Tokyo Jazz 2012 Tokyo Jazz 2012
Burt Bacharach, Ben E. King, TAKE6

東京フォーラム (2012)

幸運にもバート・バカラックの来日公演にまた行くことができました。Tokyo Jazz Festival 2012 の一環で、Ben E. King、Take6 との共演です(東京フォーラム 2012.9.8)。

50年前の音楽なのですが、僕は当時のニューヨークの音楽、というか、ブロードウェイのブリルビルディングに思いを馳せていました。

バカラックのステージは、約束の "What The World Needs..." のオケに続くヒットメドレーで始まったのですが、メドレーに先立ってバカラックはハル・ディビッドが亡くなったことを告げ、このメドレーを彼に捧げると話し、演奏を始めました。

トリビュートとされたメドレーはディオンヌ・ワーウィックの曲を中心にした60年代前半のもので、いつものバカラックのステージの通り、ヒット曲が惜しげもなく流れ続けます。明るく夢見心地にさせられる不思議な追悼でした。

バカラックの伊達男ぶりは健在で、ジャケットの下には Tokyo Jazz の公式Tシャツ。開演前に(微妙だな)と思っていた唐草模様のシャツを終演後にはしっかり買ってしまいました。バックバンドはコーラス3、管2、バイオリン1、鍵盤2にリズム隊2のおなじみの編成。バカラックとサウンドは健在です。

バカラックは今回の来日直前に LA Times の取材でハル・デイビッドの想い出を語っています。

ハルとは当時のブリルビルディングの社長の紹介で出会った。僕は駆け出しで、ハルはヒット曲を何曲か持っていた。
僕たちの作曲の仕方はちょっと面白いものだった。ブリルビルの部屋で打ち合わせをする時には、たいていハルが2行分くらいのアイデアを持っている。でもそこで曲が仕上がることはなかったね。ハルはすぐにそのストーリーを持ったまま、電車で家に帰ってしまうんだ。そして、日をおいて会って、あるいは電話で話して曲ができる。

この日の東京フォーラムでは、ベンEキングがたっぷりとリーバー&ストーラーのブリルビル時代の伝説を体現した ほんの15分後に、もう一つのブリルビルの伝説が演じらたのでした。

ジョイントコンサートにもかかわらず、当初の予定を30分近く超過して1時間半も演奏してくれたバカラック。コンサート終盤の "Close to You" の消え入るようなピアノのタッチを、ずっと記憶に留めておきたいと思いました。


(Tokyo Jazz 2012 のステージ模様の放送が、10月16日の NHK BSプレミアムであるそうです)

(たかはしかつみ)




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