筆おろし

パキラ

2003 " LIVE IN JAPAN " fdo-001/CD





 走り出したらもう止まれない。止まらない。凄腕女達の比類なきグルーヴに圧倒。男達はグーの根も出ず脱帽。とにかくライブが凄すぎ。

 筆おろしは、柴草玲(ピアノ)、長見順(ギター)、GRACE(ドラムス)の実力ミュージシャンの3人によるユニット。
 それぞれ個性ある3人が交代にフロントをとり、ある時は魅惑のシャンソン、ある時は場末の演歌ショー、ある時は豪華絢爛なオペレッタに形を変えながら展開される大パフォーマンス・ライブ。ライブハウスまるごと、爆笑と感動の彼方へ誘ってくれます。


 「パキラ」は柴草玲さん作詞作曲によるもの。繊細な世界を表現しているソロ活動では決してみることのできない玲さんの一側面を観ることができます。
 「パキラを枯らさないで」とだけメモを残して男の部屋を出て行った女。残された男の孤独と後悔は、パキラに水を差す度に日々増していく。もう逃れることはできない無限地獄。そのダメ男に自分の影を見つけ、背筋がヒヤリ。そしてこの曲には、にょんじろうこと長見順さんの破壊的で粘ばっこいブルースギターとGRACEさんのバスドラに穴が開くんじゃないかと思うほどの強烈ドラムがないと成り立ちません。女の情念が血潮となってほと走る現代版女油地獄!、玲さんの"裏"大傑作ナンバー。

 その他に、柴草さんはゴルゴ13への想いを募った「ゴルゴ13の唄」、マンションでの住人との確執を笑い飛ばす「人は見かけじゃわからない」、封印したい昔の自分と向き合う気持ちが心地よく天晴れなハワイアン「昔のビデオ」等を披露。
 柴草さん以外で個人的に気に入っているのが、にょんじろうこと長見順さんの粘っこいギターが印象的な「その日は朝から雨だった」、そしてそれに続く異様な浮遊感と爆笑の渦巻きにクラクラしてしてしまう「しわよせの世界」。この凄さ、楽しさは是非とも実際のライブで堪能ください。
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最後に、柴草玲さんへ
ソロアルバムがだんだんとメジャーなレコードでレコードリリースとなってきて、新たなスタッフから「あの筆おろし、柴草玲のイメージとさ、合わないからね、そろそろ......。」といったようなことを言ってくる人もいるかもしれません。
しかし!、僕は筆おろしの玲さんが大好きです。いろいろあると思いますが、この筆おろしの活動、ずっと3人で続けていってください。一生ついていきます!


パキラ:原産地メキシコの観葉植物。耐陰性もあり半日陰な場所でも比較的管理できるが、寒さに弱いためそのまま放置すると、葉の重量に耐えれなくなって、葉ごと下を向いてしまう。こまめに水射しと日当たりの良い場所へ移す必要がある。

(富田英伸)





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