The Turtles

Elenore

1968-2004 " Happy Together-The Very Best Of "White Whale-Shout Factory/DK 37488/CD





 The Lovin' Spoonfulの「Do You Believe In Magic」ではないが、音楽にも魔法、マジックがあるのではないでしょうか?いままで、この「Music Book」で取り上げたDennis Yost & The ClassicsW、The Buckingahamsなどのレヴューでも繰り返しお話していますが、’60年代後半からポップスを聴きはじめた者にとって、ラジオから流れてくるポップス、歌の数々はまさに聴き手を3分間という短い時間ですが、魔法にかけられていたのではないかと感じさせます。


 そのようなきらめく歌の中の一つに、The Tutlesの「Elenore」があります。
 The Turtlesといえば、ポップスのファンならだれでも知っている1967年の全米No.1の「Happy Together」(Gary Bonner-Alan Gordon)が思いうかびます。
 しかし、デビュー当時(1965年)は、Bones Howe(The Association,The Fifth Dimension他のプロデューサーで有名)のプロデュースでBob Dylanの「It Ain't Me Babe」、P.F.Sloanの「Let Me Be」、P.F.Sloan-Steve Barriの「You Baby」とフォークロックをベースにしたバンドで、今、思うと,Dunhill の初期のThe Grass Rootsと似たような路線を歩んでいった感じを受けます(この辺の話は別の話)。
 前述した「Happy Together」で、プロデューサーにJoe Wissert(後にBoz Scaggs、Heren Reddyなどのプロデュースはご承知のとおり)、作家にGary Bonner-Alan Gordonを迎え、音楽的に転換点を迎えました。同作家コンビで「She'd Rather Be With You」のヒットも生まれました。
 「Elenore」は、1968年、新たにChip Douglasのプロデューサーに迎え、作品も外部からの提供ではなく、メンバー合作という面が打ち出された曲です。ピアノとコンガ(?)にリズムにのり、Howard Kaylanのヴォーカルで歌われる「You Got Think About You/I just Can't Live Without You/I Really Want Elenore Near Me」の歌いだしから、3分間(2分30秒)の音楽の魔法が聴き手を包み込んでいきます。メロディ、サウンド、ヴォーカルは、完全に歌に溶けて、聴き手を歌の世界、魔法に誘い込みます。
 この当時(昔からそうですが)、女性名の曲にいい曲が多かった。「Elenore」は、The Buckinghamsの「Susan」、Scott Walkerの「Joanna」、The Grass Rootsの「Bella Linda」などとならぶ佳曲のひとつといっていいと思います。
 The Turtlesは、その後、ヴォーカルのHoward KaylanとMark VolmanがFlo & Eddieとして活躍することになります。

(伊東潔)





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