The Who

Substitute

1968 " Direct Hits " Track 612 006 / LP





 ま、まさかの初来日!ってことで、前回のかつみさんのレヴューに引き続きThe Who特集第2弾!来日のニュースにも驚きましたが、GWのモノ凄い混雑の中で観た『スクール・オブ・ロック』で初期の名曲「Substitute」がイイ具合使われていたこともあって、自分の中でThe Who再評価の波が来ちゃいました。『スクール・オブ・ロック』とにかく最高なので音楽好きの人は要チェックです。Jack Black(レコおたく映画『ハイ・フィディリティ』のあのデブですね)が、小学校の教師の代理(つまりSubstitute)としてクラシックしか知らない子供達にロックを教えるというストーリーの中で、AC/DCやLED ZEPPELINといったハード・ロック勢の曲に混じって唯一ポップな輝きを放っていたのがこの曲でした。個人的にThe Whoで一番好きな曲だけに、映画館で大音量で流れてきた瞬間は体がカーッと熱くなってしまいました。


 1965年にリリースされたシングル「My Generation」で同世代の若者の心を捉えた彼等は、翌年4枚目のシングルのレコーディング中にプロデューサーのShel Talmyと決裂、Decca系のBrunswickからReactionへレーベルを移籍しています。その第1弾シングルとしてリリースされたのがこの「Substitute」(邦題「恋のピンチヒッター」)です。冒頭のPete Townshendが弾くアコースティック・ギターのコード・カッティングや、Roger Daltreyのハイ・トーン・ヴォイスに絡むコーラスが印象的なサビを聴くと、「My Generation」や「I Can See For Miles」と比べて随分ポップな印象を受けます。それでも中盤の間奏では例のゴリゴリしたJohn Entwistleの太いベースとKeith Moonのやたらうるさい(笑)ドラミングが醸し出す唯一無二のハードなサウンドが楽しめます。まるで初期The KinksのギラついたサウンドにThe Beach Boysのスイートなコーラスとメロディが乗っかったような1粒で2倍の美味しさ。実際Keith MoonはThe Beach Boysの大ファンで、PeteはKeithに気に入られようと作曲時によくBeach Boys風リフを入れ込んだりしたとか。とにかくこの曲や、次作のアルバム『A Quick One』に収録の「So Sad About Us」(The Jamもカヴァーした!)といった彼等の初期ポップ・ソングは、"ハードなリズムとサウンド+甘いメロディとハーモニー"という個人的に一番のツボにくる類いの音楽でして、例えば同時期のThe Beatles「And Your Bird Can Sing」やThe Whoのこの辺の曲が、後の70年代から90年代にかけて人気を得るパワー・ポップというジャンルの雛形になったんじゃないかと思ったりするわけです。
 この曲はオリジナル・アルバムには収録されていないので、68年にイギリスで編纂された『Direct Hits』というベスト盤を紹介します。『Sell Out』までの初期3枚からの代表曲とシングルで構成されていて、僕みたいに初期が好きな方にお薦めです。ブリティッシュな風景写真がレイアウトされたジャケもポイント高しですね。

(高瀬康一)





Copyright (c) circustown.net