The Cowsills

We Can Fly

1968/2001 " The Best Of The Cowsills--Millenium Collection " MGM/Universal Music/Poydor 314 549 947-2/CD





 みなさんは初めて買ったレコードを覚えていらっしゃいますか。私はこのレヴューで触れた The Jefferson Airplane の「Somebody To Love」を中学生の少ないお小遣いで買ったのが初めて。近くのレコード店で発売日を心待ちにしたというのが最初でした。そのウキウキ感、高揚感はまた、毎日ラジオから流れてくる好きな曲があると「ミュージック・ライフ」や「ティーン・ビート」のような音楽雑誌で日本での発売日をチェックした日々でもあったのです。
 そういった、レコード発売を心待ちにしたグループのひとつに、大橋巨泉氏のもう耳たこなフレーズですが、「牛も知ってる」The Cowsills というファミリー・グループ(男の子4人とそのママ)がありました。


 1967年、あまりにも有名な「The Rain,The Park & The Other Things」が全米で大ヒットしましたが、彼らはこの曲の前の1965〜66年の間、Joda、Mercury レーベルで数枚のシングルをリリースしながらも、ヒット曲に恵まれず、MGMに移籍後、Artie Kornfeld とSteve Duboff による上述の作品で一躍ブレイクしたわけです。
 「We Can Fly」は、1968年MGM移籍後、彼らの第2弾シングルとしてリリースされた、A.Kornfeld-S.duboff と Cowsiils のメンバーの共作(実質的は前述の二人の作品だったと思われますが)になる作品です。間奏のトランペットの音と”Oh We Can Fly”のコーラスが The Fifth Dimension の「Up Up And Away」のような開放感のあるサウンドに仕上がっています。ファミリー・グループならではの気持ちのよいコーラスが、邦題の「空飛ぶ心」にとてもぴったりとフィットしていていいんですよね。まさに、ポップスの醍醐味の「3分間ミュージック」(ちなみにこの曲は2分13秒ですが)の極致って感じがしますし、今聴いても心地よいポップスの典型と言ってもいいのではないでしょうか。

 その後、1968〜69年にかけて、彼らは、「Indian Lake」、「Poor Baby」(両作ともTony Romeo の作品)、「Hair」(ロックミュージカル「Hair」のテーマ曲)などをヒットさせました。
 その後、擬似ファミリーも含めていろいろなファミリー・グループが出ましたが、私達の世代では、The Cowsills と The Carpenters の名前がいつも最初に浮かぶし、彼らの音楽によって、ポップスの楽しさを学び、好きなポップスの嗜好の基礎の一部を作ってくれたと思います。そんな想いを持つのは、わたしだけではないと思いますが、いかがでしょうか。

(伊東潔)





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