The Everly Brothers

Walk Right Back

1961 "The Golden Hits of the Everly Brothers" Warner Bros. WS-1471 / LP





 この曲はエヴァリーの中でもかなり思い入れの深い曲です。僕は Cadence 時代も Warner 時代も同じくらい好きなのですが、名曲が犇めく Warner 時代のヒット曲の中でも「Cathy's Clown」、「Crying In The Rain」に並ぶクオリティだと思います。1961年にリリースされた Warner 3枚目のシングルであるこの曲は、A面の「Ebony Eyes」と共にトップテン入りを果たしています。作詞・作曲は Buddy Holly のバック・バンド The Crickets のギタリスト、Sonny Curtis 。最近までCMでよく流れていた The Clash の「I Fought The Law」(オリジナルは The Bobby Fuller Four)を書いたのもこの人で、いかにもテキサス出身って感じの乾いたサウンドが似合うメロディを書く人です。この曲の肝は何と言ってもアコースティック・ギターのイントロですね。印象深いストロークのリフは曲の間中ずーっと鳴っていて、ドラムスのキック(Cadence 時代のヒット「('Til) I Kissed You」を彷佛とさせます)と呼応して心地よいリズムが全体を支配しています。以前 Music Book でも書きましたが、この曲のすぐ後に Bobby Vee は全く同じようなアコギのリフを高速にした「Each Night」という曲を発表しています。更にナイアガラ的な視点で見ると、この「Walk Right Back」のイントロと Darlene Love の「Winter Wonderland」のイントロを足すと、松田聖子の「冬の妖精」のイントロが出来上がるような気がします(笑)。

Walk Right Back/Bobby Gentry & Glen Campbell Capitol CR-2450

 さて達郎&まりやのデュエットは、Bobby Gentry & Glen Campbell のヴァージョンを参考にしたようです。1970年にリリースされた国内盤「夢をみるだけ」のB面に収録された「Walk Right Back」のデュエット・ヴァージョンを聴いてみると、ブラスやストリングスがフィーチャーされ、ちょっとディキシーランド・ジャズ風味も入った豪華な仕上がり。Bobby Gentry の落ち着いたアルト声はまりやさん風でもあり、なるほどこのヴァージョンを叩き台にしたのも頷けます。エヴァリー兄弟のカントリー・マナー溢れる美しいハーモニーは Bobby や Glen などに受け継がれ、遂には21世紀、極東のとある夫婦のデュエットで再び蘇ります。

(高瀬康一)




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