Jesse Colin Young

Grey Day

1974/2002 " Light Shine " Warner Bros./Liquid 8/82004-12044-2/CD





 「暑さ寒さも彼岸まで」の喩えどおり、長かった残暑も去り、本格的に秋の深まりを感じさせる季節になりました。秋の夜長、あなたと時間を共にする1枚として仲間入りさせてはいかがでしょうか。たとえば、Bill Evans のピアノの響きや、Singers Unlimited の包まれるような爽やかなコーラスなどもいいものですが、'70年代のシンガー・ソングライターのレコードにじっくりと耳を傾けるのもまたいいものです。
 先のハナレグミのレヴューで触れた Jesse Colin Young も昨年、オリジナル・アルバム3枚がCD化されています。Jesse Colin Young は、「Get Together」、「My Sugar Babe」などで知られる西海岸出身のグループ The Youngbloods で'60年代に活躍後、1973年に『Song For Juli』でソロ・アルバム・デビューしました。1974年の2枚目『Light Shine』は、ジャケット写真のひげをたくわえた彼の笑顔がアルバム全体を表わすような、暖かい歌で綴られたアルバムです。


 「Grey Day」は、アナログ盤ではA面全体を占める「California Child」、「Grey Day」、「Light Shine」の3曲からなる"California Suite"の1曲です。全体の流れを聴くと、'60年代後半の西海岸の残り香が漂っています。
 「Grey Day」は前半、彼の叙情的なヴォーカルをメインに組曲風のアレンジがほどこされています。後半はソプラノ・サックスとピアノの音がアップ・テンポにリズムをきざむフュージョンっぽいサウンドがいまとなってはやや古臭い音かもしれませんが、いい味を醸し出しています。他にも、ラテン風味で陽気な「Barbados」や彼の歌い手としての魅力全開のラブ・ソング「Susan」なども聞き逃せない作品です。

 どの歌を聴いても彼の「人間性」が聴く者にじわじわと伝わってくる作品が集まっています。彼の声や歌から秋の公園の陽だまりの心地よさを感じるといったら、余りにも「文学的」でしょうか。秋の夜長、あなたと時間を共にする1枚の仲間入りさせてはいかがでしょうか。

(伊東潔)





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