三木聖子

まちぶせ

1976/2003 NAV RECORDS/Ezaki Glico AR-G019 / CDS





 いい歳をして、こういうものにハマってしまいました。と書き出したくなるのが、この夏に出たグリコの企画「タイムスリップグリコ青春のメロディーチョコレート」。アーモンドチョコのオマケに3インチシングルCDが1枚ついているという商品で300円。チョコが2粒だから、お菓子付きオマケです。いわゆる食玩類には一線を引いていたつもりだったのですが今度ばかりは捕まりました。CDの体裁もよろしく、ドーナツ盤風のCD盤をカンパニースリーブに入れて、もちろん歌詞カードジャケットを上に乗せて(思えばアナログのシングルって妙な形態で売っていましたね)。
 しかし、歳もなにもおれたちを狙っているんだよな、この手の商品は。コンビニに並ぶ「なつかしの」と銘打たれたオマケ達の存在は知っていたのですが、このCD群は昭和42年(ピーナッツ)から昭和57年(山下久美子)発売曲を再現ということで、私はモロに「お客さん」であります。中身が見えないところがミソ(入っているCDがわからない)なのですが、アタリ!に熱くなるのが男だそうで、女性はあまり買わないそう。その証拠か窓が開いていてオマケが見える食玩は、女性をターゲットしたものだそう(この性質は本当でしょうか?)。


 さて、僕が一番うれしかったのが三木聖子の「まちぶせ」。ユーミン作の1976年のヒット曲。石川ひとみ(1981年)でリバイバル、ユーミンの96年のセルフカバーというのもありました。実は三木聖子のバージョンを真剣に聞いたのは初めてだったのですが、いいですね、これ。チェンバロ風の薄い鍵盤にドラムの転がし方、カスタネット、ストリングスの絡みもいいぞ、最後はハンドクラップだっ、と膝を叩きたくなるアレンジはダンナ(松任谷正隆)のものですが、ロング・バケイション・サウンドの先取りとも思います。三木聖子のヴォーカルは、弱気な女性を演じるものの、後半のフォルテは、音楽的には歌い過ぎの感も。しかし、それが歌詞のどろっとした所を表現しているのかな。なお、この曲をユーミンが提供したのは荒井由実時代の最後の方、「いちご白書」や「コバルト・アワー」発表を経て、ベスト盤「ユーミンブランド」と前後して発売された模様です。
 最近「なつかしい」と扱われる音が、ぐっと昭和40年代、50年代にシフトしてきているのを感じます。商品や番組の企画をする世代が僕らの年代になったからというのはあると思うのですが、僕らの世代が「振り返りたく」なってきているのでしょうか?それとも、音楽って20年たつと懐かしくなるの?
このテーマはゆっくり考えることにしよう。

PS.グリコ様。お願いだから「洋楽編」だけは出さないで…

(たかはしかつみ)




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