Jackie Trent

Where Are You Now My Love

1965-2000 " Where Are You Now: The Pye Anthology " Castle 72168 /2CD





 ボリュームあるボーカルと流麗なストリングスの調べ。イギリス音楽界きってのポップス・マエストロ、Tony Hatch とその奥様、Jackie Trent が残した美しい愛のバラード。Petula Clark の「Down Town」、「My Love」に勝るとも劣らない、Tony Hatch の名曲。
 Jackie Trent は、1940年イギリス生まれで、10代の頃からテレビやパントマイム・ショーに出演していたとのこと。そのイギリス・ショービズでの活動中、彼女のステージを監修した作曲家、プロデューサー Tony Hatch と知り合ったようです。
 1965年、Pye Records からリリースした「Where Are You Now My Love」は、その2人が共作したバラードで当年チャートインを果たしました。その後も2人は曲をいっしょに作り、Tony Hatch のサウンド・プロデュースでアルバムを製作、そして1967年に2人は、晴れて結婚。それからも仲むつまじく2人で曲を書いたり、アルバムをリリースし続けました。


 2人で書いた曲は、Petula Clark、Scott Walker、その他多くの歌手に取り上げられました。基本的には作詞を担当していたようですが、曲によっては Jackie Trent 単独名義のものもあるので、Jackie Trent 自身、作曲においても才能豊かな女性であったと考えられます。
 1970年代に入っても2人はミュージカルを中心に音楽活動を続け、特にそのミュージカル公演を機会にオーストラリアに度々訪問していたようです。オーストラリアは2人の第二の故郷といったところだったようです。
 時代は流れ、1994年には2人の作品を再録音したアルバム『The Two Of Us 』(President PRCD 144 )を発表した2人ですが、その2年後の1996年には、残念ながら約30年の結婚生活にピリオドを打ったようです。
 Jackie Trent は、Petula Clark のようなチャーミングさはありませんが、Dusty Springfield に似たハスキーボイスの持ち主で、表現力豊かなボーカルが魅力。1990年前半頃まで Jackie Trent の音源は Petula Clark と違ってCDリイシューもされず、アナログ・アルバムも入手困難な状態で、達郎さんの番組内でしか聴くことできなかったのですが、1996年に RPM(ガールシンガーものではイギリスでもっともオタクな会社)が彼女のベスト盤をリリースしたことを皮切りに、Sequel、Castle が次々と彼女の音源を発掘し出しました。本CDは、Pye 音源を集めた2枚組決定盤。Tony Hatch 作品集という観点からいっても Jackie Trent は Petula Clark 以上に充実しているので、Tony Hatch ファンにとってうれしい限り。特に1995年に国内でリイシューとなった、 The Tony Hatch Orchestra featuring Jackie Trent『Groovy Gear』(RCA)というCDは、Tony Hatch Orchestra による インスト・ナンバー以外に、Tony Hatch と Jackie Trent とのデュエット・ナンバーがたくさん収録された好選曲となっています。

(富田英伸)


The Tony Hatch Orchrstra featuring Jackie Trent『 Groovy Gear』(RCA)



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