Allen Toussaint

Southern Nights

1975 " Southern Nights " WPCR-2592 Reprise / CD





 大学のとき、友達の彼がバンドをやっていてライブに誘われたことがあります。「どんな音楽をやってるの?」という問いに対して彼女は「よくわかんない。サザンなんとかっていったっけな。あらん・とぅーさんって人の曲とかリトル・フィートとかやるらしいよ」。アラン父さんってだれ?(笑)
 それが Allen Toussaint の名前を聞いた最初でした。結局ライブに行く機会は逸し、次にその名前と出会ったのは Boz Scaggs のアルバムに入っていた「What Do You Want The Girl To Do?」の作者としてのクレジットでした。この曲は本アルバムに収録されていて、Boz とはひと味違って、ほのぼのしてていいんですよとっても。


 Dr.John、Meters、Little Feat といったニューオリンズの一連の流れの中に確固たる位置を占める彼の4枚目のアルバムが本作品ですが、日本ではこれが一番最初に発売されました。一度聴いたら耳から離れないタイトル・チューンの「Southern Nights」。Glen Campbell の歌でヒットしたので、ご存知の方は多いと思います。
 Allen の歌はあまり上手じゃないという評もあるようですが、暖かみがある声が素敵。わたしは好きです。この不器用っぽくて自信なさげなのも味ってものです。
 彼はシンガーとしてよりも作曲やアレンジ、プロデュースの能力を高く評価されていますが、わたしはそのあたりには詳しくないので解説をお読みくださいね。The Band が彼にホーン・アレンジを頼んだとかPaul MaCartney が彼のスタジオを使って録音したとか、彼に関するエピソードはたくさんあるようです。
 わたしにとっては、それまで全く知らなかったニューオリンズのR&Bへのよすがとして大きな人であると同時に、こういうサウンドがいかに同時期の日本のミュージシャンに影響を与えたかを知ることのできる1枚です。どっかで聴いたことあるようなフレーズとかリフとかでてきます(笑)
 併せての聴き所は Meters のバッキングですね。好みの問題はあると思うけど、聴いてソンはない!
 とにかくかっこいいから聴いてくださいね。

(なかのみどり)





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