Kenny Rankin

A House Of Gold

1976 " Kenny Rankin Album " Little David LD-1013-2/CD





 ジェントルな声と繊細なギター、そして途中からギターに絡んでくる美しいストリングスの調べ。心に染みてきて、今日の忙しかったこともすっかり忘れてしまいそう。
 Hank Williams のカントリー・ナンバーを完膚なきまで、美しく自分の世界にしてしまっています。日曜日の昼下がり、ちょっとしたお昼寝に最適。
 Kenny Rankin は非常に長いキャリアを持ったミュージシャン。デビュー・アルバムとなった『Mind Dusters』(1967年)以前にも、ニューヨーク周辺のスタジオ活動してしていたといわれています。デビューの頃は、アットホームな雰囲気を保持したフォーキーなスタイルでアルバムを制作。良質の作品を生み出しました。1970年に入るとジャズやブラジル・ミュージックの要素を取り入れてコンテンポラリーな作品を作り上げ現在も活躍中。初期の頃もオリジナル曲を主体に素敵な曲がたくさんありますが、このアルバムはちょうどその過渡期に作られたアルバム。


 このアルバムは1950年代から多くのポピュラー・ジャズで活躍してきたストリングス・アレンジャーの重鎮、Don Conta を迎えての録音。この Don Costa の流麗なストリングスが Kenny Rankin のハイトーンな声を効果的に引き立てています。(達郎さんはストリングス・アレンジでは Don Costa の孫弟子でしたっけ。)
 アルバム『Kenny Rankin Album』の曲は、この Hank Williams のナンバー「A House Of Gold」に限らず、自作の3曲を除き、Stephen Bishop の「On And On」、Billy Preston の「You Are So Beautiful」、Rascals の「Groovin'」、Beatles の「While My Guitar Gently Weeps」、そしてスタンダード・ナンバー「Here's That Rainy Day」、「When Sunny Gets Blue」など有名曲のカバーで占められていますが、どれも自分の持ち味を生かしたジェントルな曲調に仕上げており、ほんとに見事。特に Rascalsの「Groovin'」などはこういう解釈でやるとは驚き。オリジナルの Rascals や 達郎さんのカバーと聴き比べてみては?
実はこの「A House Of Gold」と「While My Guitar Gently Weeps」は、以前『Family』というアルバムでも取り上げており、2度目のカバー。きっと、Don Conta のストリングを得てもう一度やりたかったのでなかったのでしょうか。
1. A House of Gold (Williams)
2. Here's That Rainy Day (Burke/VanHeusen)
3. Make Believe (Rankin)
4. On and On (Bishop)
5. You Are So Beautiful (Fisher/Preston)
6. Groovin' (Brigati/Cavaliere)
7. While My Guitar Gently Weeps (Harrison)
8. When Sunny Gets Blue (Fisher)
9. I Love You (Rankin)
10. Through the Eye of the Eagle (Rankin)

Arranged and Conducted by Don Costa
Produced by Michael Stewart

(富田英伸)





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