Valerie Carter

O-o-h Child

1977/1994 " Just a Stone's Throw Away " Sony 57688/CD Columbia 34155/LP





この白いジャケットのレコードをターンテーブルに乗せると.....、冒頭の引き締まったドラム・スネアの音、ベースのうねり。そして Valerie Carter の艶やかなハスキー・ボイス。その声が聴こえてきたら、何も手つかず、そのまま彼女の虜に。
これは1977年にリリースされたValerie Carter のソロ・デビュー・アルバム。僕にとっての「いい音のレコード」といったらまず、このアルバム。こんな"いい音"をしたレコードにかつて出会ったことがありません。ただ音がいい、というだけでなく、音象に立体感を感じ、目をつぶると、まるでそこで演奏しているような錯覚。
プロデュースとサウンド・エンジニアリングは、達郎さんがオーディオチェックに利用していることで有名な、Earth Wind & Fire の『I Am』のエンジニアである George Massenburg が担当しています。


 この曲「O-o-h Child 」のオリジナルは、兄弟黒人グループ、The Five Stairsteps のナンバーですが、この Valerie Carter の表現力、音の魅力にはかなわないません。この曲を作った Stan Vincent という人は、1960代初期から作曲家として活動していた人で、ちなみに白人Doo Wop グループ The Earls の「Remember Then」はこの人の作品。1970年代には Ronnie Dyson や Soul Generation などスウィート・ソウル・グループのプロデュースを手がけました。
 このアルバムの実質的なサウンドを支えているのは、Lowell George 率いる Little Feat 一派と Maurice White 率いる Earth Wind & Fire で、両者とも自分達のサウンドの特色をしっかり保持しつつ、 Valerie Carter のボーカルの持ち味を充分生かしたサウンドに仕上げています。南部の匂いのする Little Feat の演奏も George Massenburg の音作りによって、抜けのいい都会的なサウンドに変身。
 「O-o-h Child」に続く「Ringing Doorbells in the Rain」もドラムス、パーカッションが非常に効いていて心地よく大好きな曲。歌姫、Valerie Carter が気持ちそさそうに歌い上げます。A面ラストは Earth Wind & Fire と関係が深かった Skip Scarborough が書いた「So, So, Happy」というとっても可愛らしいナンバー。
 コーラスには、西海岸のシンガーソングライター達、Jackson Browne、John Sebastian、Herb Pedersen、Linda Ronstadt、John Hall といった面々が参加し、彼女を盛り上げています。
 実はこのレコード、高校時代にモノクロの写真に惹かれてジャケ買い。リアルタイムに出会えた幸運な1枚です。

(富田英伸)





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