The Crickets

Don't Ever Change

1962 " The Brill Building Sound " ERA/K-tel 3296-2/CD




 新春放談。やっぱり大滝さんと達郎さんの音楽談義を聞くのは楽しいですね。確かに話しが良くわからないってのもわかる気がしますけど、この放談は色んな聞き方ができるのがいいですね。興奮の達郎さんの笑い声、それだけでも聞いちゃうって人も実は多いんじゃないかな。以前の健太さんホストの時代なんか激しかった。
 今年は皆の期待通り、話しを Carole King に持っていってくれました。『Goffin/King、Mann/Weil、Jeff/Ellie、相対的に全部すきなんだよ。自分の中では真ん中が Goffin/King で、右翼が Mann/Weil、左翼が Jeff/Ellie、なんだよ。Goffin/King は唱歌、Mann/Weil は歌謡なのよ。で Jeff/Ellie は童謡。完全に分かれてるんじゃなくて、全部円形になって重なってるんだよ。』えー、大滝さんのおっしゃることです。心して聞きましょう、色んな意味で。ただ一ついえるのは、こういうのはじっくり味わうといいと思いますね。何時か、ふっと思い当たることもあるかもしれないです。この3組の解釈としては、僕は Goffin/King がいちばん微妙になると思います。このバランスが大滝さんの微妙なポジションと重なってくる。


 60年代に何が起きていたのかっていうのは、ずっと想像です。僕は一生想像しつづけないといけないのかな、と妙な使命感。この Carole King 特集でもかかったこの Crickets の曲も、想像力がわく1曲です。Crickets はご存知の通り Buddy Holly のバックバンド。Buddy 亡き後もヴォーカリストを加えて Crickets を継続、この曲は1962年の作品です。なんでも Liberty のお偉いさんだった Snuff Garrett が Don Kirshner の所に Bobby Vee のための曲を探しに来て、ついでにこの曲も持ち帰ったそう。さらにはそれを船乗がお持ち帰りになったのか、イギリスに渡って全英5位のスマッシュヒット。英国の若者の心を捉えました。この曲はずばり言って品がいい。イントロの半音進行なんかたまらない。よく Everly Brothers に取られなかったなと思いますけど、ちょうど同じ時期に Everly は「Crying in the Rain」を先に取っちゃって満腹だったのかな?
 この曲は、この曲のことをきっと好きで好きでたまらなかったはずの George Harrison に捧げます。

(たかはしかつみ)




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