Robert Palmer

Know By Now

1994 " Honey " Toshiba EMI TOCP-8357/CD





 芸術、スポーツの世界などでは、よくライバル視されたり比較されたりすることがあります。音楽の世界で言えば、たとえば同じ頃にデビューした Madonna と Cindy Lauper とか、'90年代の女性シンガー・ソングライター、Alanis Morrisette と Sheryl Crow とか。 今回取り上げる  Robert Palmer もあくまでも私の聴き方ですが、Boz Scaggs と比較してしまうのです。音楽的出自は違いますが、二人とも黒人音楽をルーツにしていることを感じるからでしょうか。
 比較論めいた話から始まりましたが、Robert Palmer の歌は「Every Kinda People」や The Power Station のリード・ヴォーカリストとして放った「Some Like It Hot」などは耳にしていましたが、ヴォーカリストとしての存在を感じ始めたのは『Riptide』、『Heavy Nova』そして Columbia 時代の Miles Davis のプロデューサーとして有名な Teo Macero、アレンジャーに Claire Fisher を迎えた『Don't Explain』を聴き始めた頃でしょうか。


 ハード・ロック、ソウル・ミュージック、そして前述のアルバムでも聴けるスタンダード・ソングまで、いろいろなタイプの歌を歌いこなせる人だけあって、ややもすると彼の「本性」(?)が見えてこないといったようなことが言われるかもしれません。
 「Know By Now」は1994年に発表された『Honey』に収められている曲ですが「You Ought To Know By Now」のフレーズから始まるAOR風のサウンド。ミディアム・テンポのリズムとセンチなメロディがなかなかいいんです。さまざまな歌を歌ってきた彼の魅力を感じさせる曲でもあります。Extreme のギタリスト、Nuno Bettencourt をフィーチャーした「Girl U Want」(Devoのカバー曲)から「Wham Bam Boogie」への流れは疾走感あるハード・ロックが気持ち良いし「You Blow Me Away」の泣きのメロディーも素敵です。
 残念なのは最近彼の名前をあまり耳にしないこと。ライブを見たい歌手の一人でもあります。 Boz Scaggs が数年ぶりの新作を発表したというニュースを聞くと...。

(伊東潔)




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