B. J. Thomas

Songs

1973 " Songs " Paramount 6052/LP





 B. J . Thomas の声は耳を介さず直接、胸に響いてきます。定まらぬ心の揺れをそっと抑えてくれるように。
 アルバム『Songs』は、Scepter から出た『Billy Joe Thomas』の翌年の1973年にリリースされたアルバム。『Billy Joe Thomas』に引き続き、Steve Tyrell がプロデュースを行い、レコーディング場所も同様、Electoric Lady Studios で録音されました。前作のように多彩なゲスト・ミュージシャンの参加はないものの、Barry Mann、Carole King、 Gerry Goffin、Mark James、Barry Goldberg らの楽曲を取り上げており素晴らしい曲が並んでいます。特に、Mark James はアルバム中4曲を提供。Mark James の楽曲は Barry Mann の作品同様、B. J. Thomas の歌声に実にしっくりきます。


 今回CD化に際して我らが長門芳郎さんが詳しい解説を寄せておりますが、その中に、「Barry Mann『Lay It All Out』、Mark James『Mark James』、この B. J. Thomas 『Songs』の3枚は切っても切り離せない作品群」と述べておられました。僕も同感、プロデューサー Steve Tyrell が繋ぐ作曲家、ミュージシャン同士の人間関係はお互い、非常にいい影響を与えたと思われ、そこからこれらの素晴らしい作品が生まれてきたのだと確信しています。今回も Mark James の曲に Cynthia Weil や Gerry Goffin が詩を乗せたり、お互いの楽曲に対してもコーラスやミュージシャンとして積極的に参加しているのがみられます。
 音作りは、前作同様、ストリングス・アレンジの Glen Spreen 、ギタリスト Al Gorgoni を中心にニューヨークのスタジオ・ミュージシャンを中心に録音されていますが、前作以上に南部の匂いを残したサウンドになっています。ホーンセクションにはBS&T のメンバーも参加。特に「Honorable Peace」では Rascals のメンバーだった Gene Cornish、Dino Danelli を含む総勢11名の重厚なコーラスを得てゴスペルな世界が展開。録音は1972年12月24日のクリスマスイブ。録音当時の空気感も伝わってくる様です。
 B. J. Thomas はベスト盤的な形ではたくさんCDが出ていたのですが、このところオリジナル仕様として国内でリリースされるのはうれしい限り。長門さん率いる"名盤の殿堂"選定委員会様、これからも僕達に素晴らしいアルバムを届けてください。
 『Songs』は達郎さんも「御家庭に是非一枚」とおっしゃていたアルバム。『Billy Joe Thomas』もごいっしょにどうぞ。

(富田英伸)





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