Johnny Rivers

Summer Rain

1986/1998 " Realization " Liberty/BGO BGOCD401/CD





 雨の歌というと、どうしてもいくつかの歌が頭の中に思い浮かび、ひょっとした時に歌のワン・フレーズを口ずさんでる自分がいます。それらは、時に Carpentersの「Rainy Days And Mondays」であったり、また、Rascals の「Rainy Day」であったりします(本当ですかって聞かれそうですが)が、この歌も忘れられない雨の歌です。1960年代の後半にラジオから流れるアメリカン・ポップスを聞いていた方ならどなたも好きなヒット曲の一つでもあると思います。
 Johnny Rivers は、1960年代後半のアメリカン・ポップスを盛り上げた白人男性歌手、 Bobby Vinton、Bobby Vee、Tommy Roe、Lou Christie、Andy Kim、Glen Campbell といった人たちの中にあって一味違った趣を持った歌手だったと思います。最初に聴いた1967年の「Poor Side Of Town」は、Dunhill の音でおなじみの Hal Blaine のドラム、Joe Osborne のベース、Larry Knectel のキーボード、印象的な女性コーラスとストリングス(Marty Paich がアレンジ)をバックに彼のヴォーカルが叙情性を感じさせていました。(リズム隊やアレンジャーの名前を知ったのは後年のことで、耳たこでしょうが当時の自分の耳には心地良いサウンドだったんですね)。


 「Summer Rain」はその翌年の1968年に発表された曲で、雨音のSEから始まり、前述のリズム隊(Hal Blaineのドラムがいいっす)、ストリングス、ブラスなどが絡むフォーク・ロック調の歌です。当時を映す鏡のように詞の中に「Jukebox Kept Playin' "Sgt.Peppers Lonely Hearts Club Band"」のフレーズが出てきて、サマー・ラヴ(Jefferson Airplane や The Mamas & The Papas でも触れた Monterey International Pop Festival に Johnny Rivers も出演した。)の雰囲気がちょびっと実感できる曲でもあります。
 これは蛇足ですが、ポップス、オールディーズ・ファンの方はご存知のとおり、 Johnny Rivers は Jim Webb、Marty Paich、エンジニアの Bones Howe らも制作に参加した1967年の The Fifth Dimension のデビューアルバム『Up, Up And Away』で Marc Gordon とともにプロデューサーとして参加しています。彼は、The Fifth Dimension の「生みの親」の一人でもあったわけです。

(伊東潔)




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