Buddy Holly

Raining In My Heart

1959/1993 " The Buddy Holly Collection " MCA CMCAD2 10883/CD





 ♪太陽は高く、青空には雲一つないのに、だけど雨降り。ぼくの心は雨降り。
 失恋のうつろな気持ちを歌ったこの曲は Buddy Holly 1958年末の作品。 Everly Brothers でおなじみの Bryant 夫妻の作になります。
 ♪予報士は晴れだって言ったけど、やつは君がいなくなっちゃったことなんか知らないんだ。
 気象予報士にあたっても仕方がないと思いますが、Buddy があの声で歌うと全くじめじめしません。空を見上げてからりとむなしい気持ち。
 Buddy Holly は「Peggy Sue」に代表される、ビートの利いた音楽が特徴で、ギターのリフ、タムタムの連打、シャックリ唱法、どれをとっても当時としては激しかったのではと思われます。しかしこの曲はストリングスを伴奏にしたおだやかなバラード。というのもサポートの The Crickets と独立を決めてから録音した作品です。半音階をうまく使ったアレンジが、微妙な心を表していますね。


 この曲が録音されたのは1958年10月のセッションで、同時に録音された4曲すべてが弦楽伴奏です。彼がポップス・エンタテイナー路線への転身を図ったとも取れるこの行動は、Elvis をはじめとして当時のロックンローラーたちの何人もがポップス化してしまったのと併せ、興味深くもあり、またさらに研究をそそられる現象でもあります。それはともかく運命とは皮肉なもので、この Crickets と離れて行ったこのセッション以降、Buddy がスタジオに立つことはありませんでした。1959年2月3日、アイオワ州の飛行機事故で Buddy Holly は帰らぬ人となりますが、この曲は生前最後のシングル。同じセッションからの「It Doesn't Matter Anymore」(Paul Anka 作)をA面にすえたカップリングで事故の1ヶ月前にリリースされたそうです。チャートでは全米13位、没後すぐにリリースされた英国では6週連続1位の大ヒットとなりました。それにしても Buddy が「That'll Be The Day」のヒットで世に出たのが1957年5月のことですから、あっという間の1年半であったといえます。
 しかしそれにしても Buddy の歌はカラッカラ。顔で笑って心で泣いて、これぞ男の生きる道?

(たかはしかつみ)




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