The Arbors

Just Let It Happen

1967/1998 " The Very Best of the Arbors " Taragon 1049/CD





 奥行きのある楽曲にパーカッションを効かせた引き締まったサウンド。そして重量感のある落ち着いた4人のコーラス。曲を書いたのは、Gorgoni,Martin&Taylor のTrade Martin と Chip Tayor の2人。東海岸産の素晴らしいサウンドが堪能できる1曲です。
 The Arbors は1960年代中期に活躍、The Lettermen 、The Sandpipers に近いスタイルのボーカル・グループで、メンバーは2組の双子、Tom と Scott の Herrick 兄弟、そして Ed と Fred の Farran の双子の兄弟の4人から成り立っています。そのグループ名は彼らが出会ったミシガン州の大学 " An Arbor " からきているとのことで、当時4人は Four Freshmen や Hi-Los といった先輩コーラス・グループを目指していたようです。
 デビュー曲は、1965年に発売した「A Symphony For Susan」というシンフォニック・スタイルのナンバーで、曲を書いたのは、Bill Stegmeyer という人物。Bill Stegmeyer は元々、Glenn Miller Orchestra などで活躍したクラリネット奏者で、その後はコンダクター、アレンジャーに転身した人。翌年発売された「Just Let It Happen」を含むアルバム『A Symphony For Susan』はこの Bill Stegmeyer がアレンジを担当、曲によってはプロデューサーの Rcihard E Carney と共作しており、ラテンタッチのスマートなアレンジで彼らのコーラスを引き立てています。このアルバムには、彼らのお手本となった Four Freshmen の「Graduation Day」なども収録。


 1967年にはセカンド・アルバム『The Arbors Sing Vally Of Dolls』をリリース『Vally Of Dolls』は当時ヒットした映画『Vally Of Dolls』(哀愁の花びら)の主題歌(Andre-Dory Previn が作り、Dionne Warwick でヒット)とは異なり、『Vally Of Dolls』の原作者、Jacqueline Susann (映画にも出演)の詩に Four Seasons の Bob Gaudio が曲をつけたものでした。
 1969年の3枚目のアルバム『I Can't Quit Her/The Letter』は、ソングライター・チーム、Burton-Sawyer で知られる女性ソングライター、Lori Burton と当時の夫である Roy Cicala がプロデュースを担当。Box Tops の「Letter」やThe Doors 「Touch Me」といったナンバーをカバーしましたが、いずれも持ち味であるコーラスの技を充分に生かしきれず。
 Taragon から出たCD『The Very Best of the Arbors』にはファースト・アルバムを中心にこの3枚のアルバムから19曲が収められています。

(富田英伸)




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