Al Jarreau

Golden Girl

1986 " L Is For Lover " Warner Bros.25477-1/CD





 Al Jarreau のボーカリストとしての最大の売りは、その声のツヤとハリだと思います。聞き惚れちゃいます。しかも、決して色っぽくはないところがミソです。(「ツヤとハリ」なんてわたしのお肌が失いつつあるものとおんなじですね。あ、関係ないか)
 家でも車でも、昼でも夜でも、シチュエーションを問わずに耳に心地よさをもたらしてくれる貴重なヒトですね、彼は。でもこのアルバムはドライブ&夜向きかな。
 グラミーを3回も、それも違う部門で取ってる Al。確かな歌唱力に裏打ちされた上での表現力のすごさを味わっていただきたいです。


 Nile Rodgers がプロデュースしているこのアルバムは、Nile のギターの歯切れ良さが Al のボーカルに伝染したみたいに跳ねる跳ねる!リズムがとにかく切れてる感じで、すごくイイです。
 「Golden Girl」は、このアルバムの中でわたしのイチオシの曲。よく飲みに行ってた渋谷のバーのマスターが、わたしが行くとこの曲をかけてくれ、ニッと微笑んでくれるのがなんだかうれしかったという思い出を、未だ大事にしてるわたしであります。そのマスターの選曲はものすごく良くて、今振りかえるとよい勉強をさせてもらいました。去年そのバーは閉店してしまったそうで、10年以上足を向けていなかったのが悔やまれます。この曲はそのバーとともに私の中でリンクしてるのです。それはともかくも、コーダからエンディングにかけてのNile のソロはとにかくかっこいいです!味わってくださいね。
 ちなみに、80年代前半の彼のアルバムプロデュースは Jay Graydon。この頃の Al と Jay Graydon はまさに「蜜月時代」と呼ぶのがピッタリ。Jay Graydon、David Foster ファンならばわかってもらえるお約束のアレンジが堪能できます。Al Jarreau を取り上げるにあたり、わたしは『Breakin' Away』にするかこのアルバムにするか、ギリギリまで悩みぬきました。でも、Nile Rodgers のギターが堪能できるこっちに軍配を上げてしまいます。色気があっていいんですよね。カッティングも上手だし。好きなんです。
 彼はその器用さゆえに(つまりは上手すぎて)逆にインパクトに欠ける印象があるのですけど、いわゆるAORの時代から今まで、こんなにわたしを魅了する男性ボーカリストは彼以外にはいないのです。「話を静かに聞いてくれる優しい伯父さん」って感じ。狼には決してならないって安心できる男性にグチをこぼしたいときってありますよね。そういう雰囲気をお求めならぜひオススメします。(へんなたとえですけど)。

(なかのみどり)





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