Youssou N'Dour and Axele Red

La Cour Des Grands

1998 WORK Sony WRK 665 595-1/Single CD





 オリンピック開幕以来、わたくし頭も体も指先までも五輪サッカーの活躍と期待でいっぱいです。そこで今回はサッカーに捧げられた一つの歌を紹介します。
 「La Cour Des Grands」(邦題「勇者たちの庭」)は1998年フランスワールドカップの公式賛歌。同大会では、Ricky Martin が大ヒットさせたアレ!アレ!ものの「公式ソング」もありましたが、こちらはアフリカを代表するアーティスト Youssou N'Dour がベルギーのシンガー Axelle Red と歌ったサッカー賛歌です。
 「サッカーで活躍する、これはいい音楽をするのと同じ、おもいっきりプレイすることさ」これはみずからサッカーの大ファンを自認する Youssou のコメントです。イントロは大地を踏みしめるようにゆったりしたドラムの連打。試合を待つ胸の高まり、勝利への期待、サポーターの熱狂。Youssou のフランス語で歌われる内容を、後続するギターのカッティングとセネガルの打楽器が表現します。そこに加わる Axelle のヴォーカル。フランス人がわめいていた「allez, allez...(アレ、アレ)」という掛け声が色っぽく聞こえます。レコーディングには欧州サッカー最高の選手の一人 Michel Platini も駆けつけたそう。フランスの皇帝とセネガルの王子の出会いは、曲にどんなエッセンスをふりかけたのでしょうか。


 曲は後半ブラスやかっこいい実況風のDJも加わって、勝利の熱狂を演出し、最後にこの曲のテーマの世界の友愛と慈愛をはっきりと歌います。「この曲は特に子供たちに聴いてもらいたいんだ。夢を持ちつづけようと。」
 Youssou は、1959年セネガルのダカール生まれ。70年代後半には国内で人気を獲得し、 80年代半ばには世界へと活躍の場を広げます。「ワールドミュージック」の代表選手としても認識されました。また Peter Gabriel らとの親交も有名で、88年 Bruce Springsteen らも含んだメンバーで人権擁護を訴える AMNESTY のコンサートを東京ドームで開いています。2000年初頭には6年ぶりとなるアルバム「JOKO」を発表。日本ではHONDAの宣伝の「OB-LA-DI OB-LA-DA」も超有名ですね。
 この賛歌は1997年12月、マルセイユで開かれたW杯組合せ抽選会の席で発表され、 Youssou と Axele がスタジアム内の特設ステージで歌いました。同時に行われた記念試合で我らが中田英寿は世界選抜として出場、ブラジルの Ronald 選手らとプレーし、世界への一歩をしるしました。2002年のW杯では日本と韓国から、どんな音楽とどんな選手が登場してくれるのでしょうか。

(たかはしかつみ)




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