Felix Cavaliere & Veronica

I Love You So

1994 "Arthur Alexander" Razor & Tie RT 2814/CD





 恋のトキメキを予感させる Felix のハミングのイントロに導かれるのは、ストレートな8ビートのロックンロール。Rascals の Felix Cavaliere と Ronettes の Veronica の愛の一撃デュエットは1994年録音、まだまだ行けます。Felix の優しいガッツのヴォーカルと、Veronica の合いの手(♪Ooo Yeah! ♪Oh Hoh!)の輝きは不滅です。ちなみに Pixies の"デブ" Frank Black もコーラスで協力しています。
 この曲は 1993年に惜しまれて世を去った偉大なる黒人シンガー・ソングライター Arthur Alexander のトリビュートアルバムのために録音されました。この素晴らしいアルバムが捧げられた Arthur Alexander は 1940年アラバマ生まれ。彼の作風はリズム&ブルースとカントリ風味の、品の良い味わいを持つのが特徴です。Beatles の「Anna (Go to him)」の作者その人でもあります。彼は60年代初頭に「You Better Move On」(ストーンズもカバー)はじめ「Anna」などをヒットさせ、70年代半ばまで活躍、そして約15年の空白の後'91年 Bottom Line のステージで復活、さらに新作を完成させあの世に召されたとあります。これまた人に音楽に歴史あり。


 今回取り上げた「I Love You So」は、復活直後に残した未発表曲です。このトリビュートアルバムは、遺作を含む良い曲ばかり17曲を収録してます。「泣ける」曲をしっかり歌える歴代の面々は、Roger McGuinn の「Anna」を頭に団体さんでご参加 (Marshall Crenshaw、Elvis Costello、Graham Parker に Nick Lowe)。イタリアのスーパースター Zucchero(ズッケロ) の「From Now On」の解釈、DooWap界からは The Spaniels の中心人物 Pookie Hudson の「Baby Can't You Wait」がこれまた泣かせます。ロックの大将 Gary U.S. Bonds の「Genie In The The Jug」というのもこれまたイケます。
 Felix と Veronica のロックンロールから、穏やかな大人の音楽までたくさん詰まった Arthur Alexander のトリビュート。どこかで探して、ぜひお手にとってみて下さい。

(たかはしかつみ)




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