Art Garfunkel

When Someone Doesn't Want You

1979 " Fate For Breakfast " Columbia JC35780/LP





 ときおり、なにげなく聴きたくなるアルバムがあります。先端の流行の音楽を聴くことにふっと疲れたりしたとき。「心地よさ」とか「癒し」(この言葉は好きじゃないけれど)を持っている音楽。
 私にとって Art Garfunkel の『Fate For Breakfast』がその一枚です。そう、Art Garfunkel の全てのアルバムにそれは言えることかも知れません。1979年に発表された4枚目のこのアルバムは、プロデューサーに当時、Seals & Crofts、Alessi のプロデュースもやっていたギタリストでもある、Louie Shelton が担当し、アレンジには Del Newman、Gene Page、そして参加ミュージシャンには当時、隆盛を極めていたフュージョン・グループの Stuff や Michel Brecker 、Tom Scott、そしてお友達関係(?)からは Stephen Bishiop、Leah Kunkel、Billy & Bobby Alessi がコーラスで参加しています。ここらへんで、好きな人はニヤッとして音が想像できるのではないかしら。


 お決まりのオールディーズ・ナンバーは本作では「Since I Don't Have You」と「Oh How Happy」を取り上げています。全曲がすばらしいのですが、なかでもセッションにも参加している Jeffrey Stanton の作品「When Someone Doesn't Want You」は今は亡き Richard Tee の柔らかいエレピの音と Jeffrey Stanton のアコースティック・ギターに包み込まれるように、Art Garfunkel の乾いた声質のヴォーカルが淡々と響いてきます。Steve Gadd、Neil Jason、Hugh、Hugh McCracken、Michael Brecker とそうそうたるバックで心地よいサウンドを耳に響かせるあたり、AOR、MORの持っている爽快感も併せ持っている作品です。

(伊東潔)




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