Eugene Record

Mother of Love

1977,1999 "The Eugene Record" WB 3018/LP WPCR-10567/CD





 雲の上にいるような柔らかなサウンド。そして、その歌声は午後の陽射しのように暖かくて優しい。
 長年、Brunswick でコンポーザー、プロデューサーとして、また The Chi-Lites のメンバーとして活躍していた Eugene Record の1977年に満を期して発表したソロ・デビュー・アルバム。ジャケットを見てわかるように破けた包みの中から、「レコード」に映った Eugene Record が覗いています(笑)
 Eugene Record はシカゴ・ソウル・シーンの中でも、とりわけマイルドでポップなセンスの持ち主。1967年頃、シカゴの敏腕プロデューサーの Carl Davis にその才能を認められた彼は自分のグループ、The Chi-Lites 以外に Barbara Acklin (後に Eugene Record と結婚)や Young-Holt Unlimited、 Brunswick のスターである Jackie Wilson のカムバック作品などのプロデュースや楽曲の提供でその才能を発揮してきました。(この周辺の音源は1999年に 英 Edsel から一挙CD化となりました。)
 このアルバムは Eugene Record の持つ都会的でメロディアスな部分が良く表現されており、特にこの「Mother of Love」、「Here Comes The Sun」、「Putting It Down」、「When We Pull The Shades」といったバラードはメロウで心地よくどれもお気に入りのナンバー。


 アルバム・プロデュースは Eugene 本人で、アレンジには、Eugene の他に Tom Tom 84 ( Tom Washington )が手掛けています。リズムセクションは、Eugene (G,B)以外に、Quinton Joseph(Dr.)、Bernard Reed(B.)、Phil Upchurch(G.)、Tom Washington (Key.) といったシカゴを中心に活躍しているミュージシャン達。奥様の Barbara Acklin もコーラスで参加。
 作詞作曲は、1曲を除き、Eugene によるもの。「Puting It Down (To The Way I Feel About You)」は、Real Thing のプロデューサー等で知られるイギリス出身の白人コンポーザの Ken Gold が書いています。
 このアルバムの後、『Trying To Get To You』(1978年)、『Welcome To My Fantasy』(1979年)を同じく Warner からリリース。(ワーナーさん、CD化期待しています。)その後、The Chi-Lites に復帰しています。Eugene はシカゴに冷たく吹く風をマイルドに暖かく包み込む魔術を持っていたようです。

(富田英伸)




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