Cass Elliot

New World Coming

1997 "
Dream A Little Dream〜The Cass Elliot Collection"
MCA MCAD-11523 /CD





 いつも耳に入るたびに暖かく包み込む声に惹き込まれてしまう。そんな声の持ち主が Cass Elliot です。
 1960年代後半から70年代前半に活躍した The Mamas & The Papas の一員として有名ですが、ソロ・シンガーとしても数々のヒット曲を放っています。それらの軌跡は1997年に発表されたこの CD で辿ることが出来ます。
 Cass Elliot の曲で何が一番好きかと聞かれたら、私は「New World Coming」をあげたいと思います。Barry Mann-Cynthia Weil の作品を取り上げていますが、2分ちょっとの曲の中に、彼女の声の伸びやかさとともに、バックのホーンが奏でるゆったりとした世界が心地よい響きとなっています。


 Cass Elliot 自身は、このCDのライナーでも触れられているように、早く The Mamas & The Papas のMama Cass のイメージから抜け出したかったと悩んでいたようですが、ファンとしては、Steve Barri のプロデュース、Jimmie Haskellのアレンジによるダンヒル・レコード時代の彼女の歌はとても魅力があり、心が落ち込んだときには常備薬(?)になります。
 今、彼女のような暖かみのある声を持つ女性シンガーを探すのは困難な時代なのでしょうか。歌唱の技術やサウンド・スタイルを魅力の大きなポイントとする時代には望むべくもないことかもしれませんが。

(伊東潔)





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