Eternity's Children

Mrs. Bluebird (Bruce Blackman)

1968/1999 "Eternity's Children" CREV062CD REV-OLA/CD





 静かな森に響き渡る Bluebird のさえずり。そして美しいコーラスに心は包まれて音の中に溶け込んでいきます。 これは僕の音楽の森林浴
 この「Mrs. Bluebird」は達郎さんが「オールナイト・ニッポン」の頃からオンエアしている僕の大好きな1曲。このレコード、ほんとは世の中に出ていないんじゃないかと思うくらい僕にとって幻のレコードで、待望のCD化となりました。今回はファースト・アルバム『Eternity's Children』とセカンド・アルバム『Timeless』の全曲とシングル3曲が含まれています。
 Eternity's Children はミシシッピー州で結成された女性1名を含む4人グループ。デビュー当時はみんな20才そこそこ、初々しい声を聞くことができます。デビュー・シングルは Keith Olsen が単独でプロデュースを行っていたのですが、このファースト・アルバムでは Keith Olsen と同じプロダクション Crocked Foxx Production に所属していた Curt Boettcher と共同で行っており、Curt Boettcher 独特のコーラス・ワークにより深みのあるハーモニーを作り出しています。


 このアルバム全体に漂う世界観はどこか幻想的でちょっとサイケデリックな感じ。Curt Boettcher が同時期に行ってきたグループ Sagittarius、Millennium に近いものを感じとることができます。セカンドアルバム『Timeless』は、Charlie McCoy 、Hollywood Argyles、Association のソングライターやエンジニア等を務めてきた Gary Paxton がプロデュースを引き継ぎました。このアルバムでは、 Gary Paxton-Jan Paxton(兄弟か?)らに混じってメンバー自身が作詞・作曲していて、これがなかなか素敵ないい曲ばかり。前作にあった幻想的、サイケデリックさが消え、瑞々しく清々としていて、まるで朝露の様。特に 「The Other Side Of Me」、「Sunshine And Flower」では紅一点の Linda Lewley の声が溌剌として爽やか。
 このアルバム後、彼らはメンフィスに移り B.J. Thomas 等を手掛けた Chips Moman がプロデュースを担当し、「Blue Horizon」というシングルを出します。これがなんと Spooner Oldham と Mark James が共作した曲。前作にはない力強い大人になった Eternity's Children を感じとることができます。その後もメンフィスのソングライター Johnny Christopher の曲でシングルをリリース。ミシシッピー出身の彼らが行き着いた先は、メンフィス・サウンドだったようです。
 今回のCD化に際して、Tape Research に Bill Inglot があたっていたり、Thanks To に Yoshi Nagato (長門芳郎さん)の名前を見つけることができます。またライナー・ノーツもこの「Mrs. Bluebird」の作者である Bruce Blackman らのインタビューを中心に詳しく書かれており、多くの人々の努力によって今回のCD化が叶ったことを物語っています。この Bruce Blackman は後に Starbucks というバンドを結成し、1977年に「Moonlight Feels Right」をチャートに送り込んでいます。
 「オールナイト・ニッポン」で達郎さんが初めてこの曲をかけた時、この「Mrs. Bluebird」をリクエストしたのは、当時「シロウトが作ったポピュラー・ミュージック」というミニコミ誌を作っていた、現在 SSB で超常連のおひとり、我孫子市の伊東潔さん。素敵だったそのミニコミ誌、是非とも復刊願いま〜す。

(富田英伸)






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