dreamsville records 相互リンク記念

Bill LaBounty

The Right Direction

1991,1999 "The Right Direction" dreamsville YDCD0013/CD





 ジャケットの絵は古き良きアメリカの風景を実にコントラスト豊かに描いた、Edward Hopper の絵。実は私は彼の作品が昔から好きで、ニューヨーク近代美術館で彼の作品を集めたブックレットを買い求めたことがあります。そんなこともあって、まずこのジャケットに魅せられてしまいました。そういえば、南佳孝氏のアルバム『Seventh Avenue South』のジャケットも彼のものでした。
 さて、肝心の中身ですが、1991年発表のオリジナル8曲に"TV Mix" と題された「Mr.O」と「Time Starts Now」のカラオケ2曲と、91年に川崎のクラブ・チッタで行われたライブ・テイクが4曲。この中には名曲「This Night Won't Last Forever」も収められています。
 AORと呼ばれるジャンルが、世紀末の日本で何度めかのちょっとしたブームになっている感もしますが、こんな時代だからこそ彼の作品に再びスポットが当てられたのでしょうか。


 Bill LaBounty は70年代初頭に何枚かのアルバムを残していますが、1978年にCURBからリリースされたアルバム、『This Night Won't Last Forever』がAORの名盤としてつとに有名。シングル・カットされたタイトル曲は発売当初、ビルボードのシングル・チャートでの最高位が65位といういわば隠れた名曲だったのですが、90年に中山美穂主演のトレンディー・ドラマの挿入歌として使われて、CDが再発されるなど日本でも結構話題になりました。そんなこともあってか、しばらく作曲家として、Peter Cetera、Nicolette Larson、Patti Labelle など多くのアーティストに曲を提供してきた彼が久しぶり放ったアルバムが本作というわけです。
 洗練された楽曲の構成、印象的な切ないフレーズ、オーソドックスで安心して聴けるアレンジ、そしてちょっとソウル・テイストを感じる説得力のあるヴォーカル。心が洗われていくようなこのサウンドが夏の火照りを癒し、疲れた心をそっと包み込んでくれます。
このアルバム、深まりゆくこれからの季節にゆっくりと聴いてみてください。きっと芳醇な秋を感じることが出来るでしょう。

(脇元和征)






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