The Chi-Lites

The Coldest Days Of My Life

1972 "
A Lonely Man" Brunswick DIAB895




 シカゴの黒人ヴォーカル・グループ The Chi-Lites が Brunswick Records に残したアルバムがこのほど待望のCD化となりました。The Chi-Lites はもともとドゥワップ・グループとして活動していたようですが60年代後期に Eugene Record を中心にファルセットを活かしたメロウでスウィートなグループとして生まれ変わります。71年に Eugene Record と Barbara Acklin のコンビで書いた「Have You Seen Her」がヒット。そして、一躍彼らをトップ・コーラス・グループへと押し上げたのが、このアルバムに収められている「Oh Girl」と、続く「A Letter To Myself」の大ヒットでした。当時はフィラデルフィアの Gamble & Huff が "Philadelphia International" で手掛けた The Intruders や O'Jays、Harold Melvin & The Blue Notes 、Thom Bellがプロデュースした The Delfonics、ニュージャージーの The Moments などノーザン・ソウルは星の数ほどのスウィート・ソウル・グループによって一大ムーブメントを巻き起こします。


 このアルバムは「Oh Girl」が収められていることもあり彼らの出世作と言えます。楽曲のほとんどは Eugene Record の作曲で、「Love Is」など甘茶ソウルが目白押しですが、Marvin Gaye の「Inner City Blues」なども取り上げて渋いコーラスワークも見せています。
 しかしながら出色なのは「The Coldest Days Of My Life」。海鳥が鳴く静かな港の夜明けを思わせるイントロ。静かな歌い出しから8分を越えるドラマティックな展開は別れのワンシーンを見ているような切ない思いになります。(脇元和征)






Copyright (c) circustown.net